東京電力は「いわき市漁業共同組合の福島第一原子力発電所ご視察状況(2015年6月24日)」というタイトルで写真を3点公開した。
公開されたのは写真だけで、説明資料も現在のところないので、分かる範囲で写真についての解説を試みてみる。
一番気になるのは、どこを視察して、どんな説明を受けたのかということだ。この写真の背景にはマイクロバスの進行方向右側後方に消波ブロック、左後方に砕石の山と黒い大型土嚢が見える。おそらく、4号機タービン建屋の南側の海岸線、1~3号機放水口付近に車を停めてているのではないか。地下水バイパスの放水口についての説明を受けているのかもしれない。
上の写真とほぼ同じ場所だと考えられるが、別車両だ。いわき市漁協の視察は、マイクロバスで少なくとも2台の人が参加したようだ。
もう一点気になるのは、視察の人たちがマスクを付けただけの極めて軽装であること。6月9日の英国セラフィールド社の会長・社長の視察も、5月27日に行われた稲田自民党政調会長の視察でも、タイベックにピンク色の高機能フィルター付きのマスクを着用していた。
いわき市漁協の視察では、建屋周辺など高線量な場所での活動は行わず、車内から短時間見て回るかたちでの視察だったのかもしれない。もしかしたら、マイクロバスの経路も、建屋周辺を避けて南側から迂回するルートだった可能性も考えられる。
3枚目は資料を使っての説明だが、説明しているのは福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの増田尚宏氏のようだ。貼りだされている資料は、廃炉への取り組みなどをプレゼンするときに多用される一般的なものと思われる。
東京電力が失われた信頼の回復に必死なのは分かる。ただそれが、浄化した汚染水を海に流すのを許可してもらうためとか、地下水バイパスの海洋排出を続けさせてもらうためといった「目的」のための行動だとしたら、漁業関係者との溝を埋めることは難しいのではないか。
福島の漁師たちは生活の糧を得るための海を放射能で汚染されたにも関わらず、「反対ばかりしていても、原発事故が早く片付いてくれない限り、地域の復活はないから」という理由で、協力できるところは協力しようという人たちだ。
「信頼」という言葉の重さが理解できるような対応を東京電力には期待したい。
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