2015年のゴールデンウィーク、中国は上海へ観光旅行に行った。私にとっては北京、西安に続いて3度目の中国旅行だ。
上海は中国経済の中心地。高層ビルが建ち並び、物価も日本と変わらないと聞いている。でも住んでいるのは何と言っても中国人。日本では考えられないようなおもしろいことが待っていると期待しつつ、上海虹橋国際空港に降り立った。
現地ガイドと共に車に乗り込み、一路市内へ。すぐに高速道路に入るがそこで出迎えてくれたのが渋滞。どこの都市も変わらないんだなあ、と思いながら窓の外の車を見ていると、ガイドの范さんが口を開く。
「上海のナンバープレートは160万円もするんですよ」
「160万円!?」
交通渋滞解消のため発行数を減らしているという上海のナンバープレート。しかもオークション制度を導入している。そのため、値が吊り上るのだ。
「160万円も出したら車が買えないじゃん」と言いつつ窓の外の車を見れば、みな高級外車ばかり。ベンツにBMWにレクサス・・・。そう、ナンバープレートが買える人は金持ちばかり、即ち上海ナンバーの車に乗る人は金持ちばかりなのだ。
おそらく金持ちばかりが乗っていると思われる車――だが、その運転の荒っぽいこと、品の良さなどかけらもない。
私たちは少なくとも日本から来た観光「客」だ。范さんの相棒の運転手もそこのところわかっていると思うのだが、やはり運転は荒い。
抜かれたら抜き返す、え、そこに割り込むの? あ、そこでハンドル切ったら、あ、あ、あ、ぶつかる!!
――いやぶつからない。
さらに、ちょっと車の数が減ってくればすぐにアクセルを踏む・・・かと思うと、前方には渋滞した車の塊が! ええーっ!ぶつかる!!
――いやぶつからない。
もうダメかと思って何度となく体に力が入るが、どういうわけかぶつからない。急ブレーキを踏んだようでもない。とにかく絶対にぶつからないのだ。
こんな思いを何度もしながら高速道路を進み、しばらくしてやっと一般道に下り、ちょっとホッとする・・・というのは甘かった。
高速道路に乗っている時にも聞いたが、一般道ではさらにひどい中国名物クラクション。
なにがそんなに危ないというのか、、、いや、危ない運転をしなければ鳴らさずにすむのに、と思うがとにかくいつでもどこでもブーブー言わせている。
しかし日本なら「危ない」「注意」ということで鳴らすクラクション、よく見ているとどうも中国では違うらしい。
私なりに解釈したのは、中国人のクラクションは「どけ!」の合図。
「そっちに行くな、どけ!」「そこは俺が通る、どけ!」
簡単に言えば前を行く車を「威嚇している」わけだ。「来るな」「どけ」と思うのと同時に押しているから常に鳴りっぱなしのクラクション。
范さん曰く「クラクションの位置が遠いと言って、手元で押せるように改造した友達がいるんですよ」・・・ああ、そうなのね。
ブーブー鳴らしながらもやはり運転の粗雑さは一般道でも変わらない。スピードは出ていないが、抜き返し、割り込み、やりたい放題だ。
到着してすぐにこの粗雑な運転の洗礼を受けるとは。しかしここでまだまだ終わらないぜ、上海。
一般道に出て一番驚いたのがバイクと自転車。なぜなら――彼らが前から突っ込んでくるのだ!
中国では車は日本と反対の右側通行。
ところがバイクと自転車は「両側通行」――はあ?
いや、右も左もないのだ。どちらもOK、右側でも左側でもぶつからなけりゃあご自由に(^0^)
どうもこれら2輪車は日本でいう道路交通法の外に位置する乗り物らしい??本当のところは違うかもしれないが、私にはそうしか見えなかった。
割り込まれたら割り込み返し、クラクションガンガン鳴らして威嚇して、前から突っ込んでくるバイクを避け・・・カースタントさながらの運転。
一緒に行った友人が最終日に言った。
「こんなに乱暴な運転しているのに、この3日、事故ってるの見なかったよね。ってことはさ、中国人って運転が上手いってことじゃない?」
え?そこ? いや、そう・・・じゃないでしょ!