1985年3月8日(日本時間)。1曲の歌が米国でリリースされました。
「We are the world」です。全米で約750万枚以上のセールスを記録し、日本、フランス、カナダ、イギリスなどでも販売され、全世界で多くの人の心を動かした名曲です。
作詞・作曲はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの共作。同曲が伝説のように語り継がれているのは、曲自体の良さもさることながら、マイケル・ジャクソンを始め、スティーヴィー・ワンダー、レイ・チャールズ、シンディ・ローパーなど、世界を代表する総勢45名もの歌手が参加して1曲の歌を歌い、その印税の全てをアフリカの飢餓と貧困救済のために寄付したことにあります。今でこそ、チャリティーソングは珍しいものではないかもしれませんが、当時はまだ一般的ではなかったと聞きます。
「バンド・エイド」と「USA for Africa」
「We are the world」が発売された前年、イギリスとアイルランドの有名歌手が集まり「バンド・エイド」というチャリティーソングプロジェクトが立ち上げられ、「Do they know it's christmas?」という曲が作られました。このプロジェクトの影響もあって、アメリカで結成されたチャリティーソングプロジェクトが「USA for Africa」であり、歌われた曲が「We are the world」でした。
We are the worldを初めて知った時のこと
「We are the world」が発売された当時、私はそのことを知りませんでした。初めて知ったのは中学生の時です。英語の先生がある日、授業に1本のビデオテープを持ってきて見せてくれました。ビデオは「We are the world」の曲とそれができるまでのレコーディング風景などを記録したものでした。
かなり昔のことですが、あの時に聞いた歌と見た映像は忘れることができません。アフリカの貧困を救済しようと大勢の歌手が集まり、曲の一部を少しずつ、バトンを繋ぐように歌っていく。そして、さびの部分になると全員でコーラス。思わず鳥肌が立ったのを覚えています。
同じクラスの仲間も強い印象を持ったようで、その後しばらく、レコーディングの際に熱唱していたブルース・スプリングスティーンばりに、熱く「We are the world」を歌うクラスメートが続出していました。
飢餓や貧困に苦しんでいる人がアフリカに多くいることをいつ頃から知っていたのか、確かなことは覚えていまん。ただ、遅くともこの曲を聞いた中学2年生以前であることは間違いありません。「We are the world」はほとんど知ろうとしなかったアフリカ大陸に目を向けさせてくれたものでした。
金銭的な寄付はもとより、少なくとも1人の中学生にアフリカに対しての関心を芽生えさせてくれた「We are the world」。飢餓や貧困は無くなってはいないものの、これらの曲が先駆けとなり、その後いくつものチャリティーソングが生まれて多く人の命を救ってきました。
伝説の名曲が発売されてからもうすぐ30年。もう一度、この曲を初めて聞いた日に感じたことを思いだしたいと思います。
参考WEBサイト
Text:sKenji