先日ぽたるページに書いたミカン農家のおばちゃん。別れ際により美味しそうなミカンに取り換えてくれた。
そして、交換してくれた後に
「ヨーグルトの種菌も持っていく?」と尋ねてきた。
料理の知識、スキルが乏しい私に果たして自家製ヨーグルトなどできるのだろうか。そんな不安を口すると、おばちゃんは「簡単よ」と言った。
話によると、なんでもヨーグルトの種菌を少し牛乳に混ぜて、常温で放っておくだけでヨーグルトができるらしい。できたものは食用のほか、次のヨーグルト作りの種菌にもなり、新たな牛乳に混ぜると再びヨーグルトができるという。これを繰り返すことによって、ヨーグルトを作り続けることができるとのことであった。
思っていたよりも簡単そうで、自分にも作れそうな気がした。私はヨーグルト作りの決意を伝えた。すると、おばちゃんは種菌となるヨーグルトを新しい牛乳パックに入れ、途中でこぼれないようにパックの口をダブルクリップで閉じた。そして、さらにビニール袋でしっかり包むと、「はい!」と言って渡してくれた。
私は御礼を言って、ヨーグルトの種菌の相場が全く見当もつかなかったので代金について尋ねた。すると、おばちゃんは「牛乳代だけでいいわよ」と笑いながら言った。私はもう一度御礼を言って、おばちゃんがミカンで作ったというジャムも一緒に購入して帰宅した。
種菌の入った牛乳は、暖かい場所において待つ
帰宅するとヨーグルトになるはずの種菌の入った牛乳を台所の暖かそうな場所においた。
というのも、おばちゃんの話によると冬場は炊飯器の脇など、少しでも気温の高い所においた方が良いとのことだったからだ。なんでも、その方が発酵が早く進むのだとか。ヨーグルトができるまでの時間は気温に大きく左右されるらしく、夏場は半日程度でできるが、冬だとだいたい1日くらいかかるという。
「本当にできるのだろうか・・・」。半信半疑で翌日を待つことにした。
結果は・・・
翌日。仕事が終わるとそわそわした気分で家路を急ぐ。果たして本当にヨーグルトはできているだろうか。
アパートのドアをあけて部屋に入ると、まっさきに種菌が入った牛乳パックの所へ行った。そして、埃が入るのを防ぐためにパックの口にかぶせてあるティッシュペーパーを取って、中をのぞいてみる。
昨日と変わらず中身は真っ白だ。変化がよくわからない。
そこで、パックを少し傾けてみると、ドロっとしていた。「できている?!」はやる気持ちを抑えることができずに、急いで台所にあったスプーンですくってみる。
どうやらヨーグルトができているようであった。小皿に取り分けて恐る恐る食べてみた。
市販されているプレーンヨーグルトとは味や食感は異なるものの、正真正銘のヨーグルトであった。店で売られているものよりもさっぱりとした味で、粘りが強い食感であった。まろやかな美味しさがあった。
2、3口食べた後、写真を撮って一緒に買ったミカンジャムをのせてみた。おばちゃんいちおしの食べ方であった。口に入れると、癖がないヨーグルトとジャムの組み合わせは絶妙であった。
「よし、次のヨーグルトを作ろう!」
新たなヨーグルトを作るために、昨日買っておいた牛乳を冷蔵庫から取り出し、増産体制に入ることにした。
<「自家製ヨーグルトを作ってみる ~後編~」 に続く>
Text & Photo:sKenji