今年、日本の地域について考える年にしたい

日本の原風景が今なお残る岩手県遠野にて

25年後、約半数の自治体が消滅する恐れがあると民間の有識者らでつくる日本創成会議が提言したのは昨年5月のことであった。提言によると、2040年に全国の約半数にあたる896の市区町村で20~39歳の女性が5割以上減り、このうち523市区町村は人口が1万人未満になるそうである。こうした自治体では人口が減少し、消滅するおそれがあるという。

地域の過疎化についての懸念は何もここ最近に始まったことではなく、以前から指摘されてはいた。

ここ数年は少なくなったものの、20年近く前から「旅行」、「自然景観」、「登山や川下り、キャンプなどのアウトドア」に興味があって、北海道の利尻島から沖縄の離島まで、国内各地のさまざまな地域を訪れた。その行った先々で話をした現地の方がよく言っていたのが「仕事がない」「若者が減っている」ということであった。

そのような声を聞く度に地域が持つ将来に厳しいものを感じてはいたものの、自治体の半数が消滅する可能性があるという話を聞くと、地域について改めて考える必要性を感じている。

地域の過疎化について、友人が放ったひとこと

「なぜ、過疎化が問題なのか?」

かなり前に地域の過疎化について友人と話をしていた時に問われたことである。過疎化について懸念は抱いていたものの、改めてそう聞かれると説得力ある言葉が見当たらなかった。

短期的に見た場合、人が減り、それによってお店や仕事なども減ることによって、地域に住む方が生活していく上で必要なサービスを受けられなくなるという問題があるのは言うまでもない。また、人工林などが手入れされないことにより、治水上の問題を引き起こす可能性も考えられる。

しかし、これらの問題がある一方、都市に人が集まった方が行政サービスなどを始め、多くのものが効率良くなるという声もある。

住んでいる方の想いなどは重要であるものの、友人が放ったひとことに対して、その時も答えることができなかったし、今もまだ彼を納得させることができるものが見つかっていない。

地域の魅力について

地域の必要性を感じているものの、その理由については、結局今はまだ個人的に地域に魅力を感じるという感情論にいきついてしまう。

主に学生時代の出来事だったのだが、日本各地の地域を訪れた際に幾度となく親切にしていただいた。北海道を青春18切符で旅行していた時、目的地手前の駅で列車がなくなり困っていると、知り合った現地の人が「ドライブに行きたくなった」と言って、車で数十キロ離れた目的地まで送ってくれたことがあった。

予定を決めずに東北を旅行していた際には、寂れた銭湯で知り合ったおじさんと話が盛り上がると「泊まる所を決めていないならば、うちに泊まっていったらどうだ」と心配されて言われたこともあった。

友人と二人で高知県の四万十川をカヌーでキャンプをしながら4、5日かけて海まで下った際、お風呂に入りたくて河口で地元のおばあちゃんに銭湯がないか尋ねたことがあった。その時、近くになかったためにおばあちゃんはわざわざ自宅の湯船にお湯をためて入れさせてくれた。

「都会には親切な人がいない」などということは全くないけれど、地域は人と人との距離が近いせいか、これらのエピソードのほとんどは過疎化が進んでいるような場所での出来事であった。

その他、地域が持つ自然との距離や、里山や田園風景など地域の自然と人の営みが調和した風景にも魅力を感じている。以前東京で働いていたのだが、今は静岡県の三島市に住んでいる。その理由は、自然をより身近に感じることができる地域に住みたいと考えたことによる。

このような個人的な想いや好みなどで地域が衰退してほしくないと感じている。しかし、そのような感情論以外にも、実際に失われた時になって初めて気づく、重要なものが地域には隠れているのではないだろうかと考えている。

新しい年が始まるのにあたり、地域の重要性の有無も含めて探したいと思うと同時に、今年、地域の持つ魅力を紹介していくことができればと思っている。

参考WEBサイト

Text & Photo:sKenji