4号機プールから燃料取出し完了

東京電力の事故原発について、良いニュースです。

(1)4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し作業の完了について(1) (平成26年12月20日)

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12月22日、東京電力は福島第一原子力発電所4号機使用済み燃料プールに保管されていた全燃料の取り出しが完了したと発表しました。

爆発によって建屋外壁等が大きく破損した4号機には、使用済み燃料プールに使用済み燃料1331体、新燃料202体の合計1533体もの燃料が保管されており、早期に安全性の高い場所への移送が求められていました。

1533体の燃料は、事故原発中最大。爆発事故後、東京電力は4号機建屋の健全性を繰り返し強調していましたが、破損した建屋の上部に設けられたプールに入れられた大量の燃料の危険性は如何ともしがたく、大規模な余震などの災害で被害が発生することも懸念されていました。

作業完了に当り、廣瀬直己社長のコメント動画を発表したことからも、東京電力がこの作業をいかに重視していたかが伺えます。

また、同日公開された写真には、キャスクピット(水中で燃料の移し替えを行うためにプール内に設けられたキャスク格納場所)から燃料が入ったキャスクを引き上げる状況(上の写真)から仕立ピット(キャスクの蓋締め、除染などを行う場所)での作業、6号機使用済燃料プールへの移送まで、計5点の写真と動画が公表されました。

移送燃料の種類(使用済:1331体/1331体、新燃料:202体/202体)キャスクの輸送回数 71回 更新日:2014年12月22日(「燃料取り出し|東京電力」より)

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爆発した建屋に1533体もの燃料が保管されていたことについて、参考配布資料の中で東京電力は「国内のみならず、海外からも多くの心配の声をいただいた」と記しています。4号機からの燃料取り出し完了は、世界中から大きな懸念が寄せられていた最大級に禍々しいものを何とか鎮めることができたということです。

作業を行ってきた東京電力にとって、大きな成果です。

しかし、禍々しい災厄をもたらしかねない課題は山積みされたままです。その他の破損原発からの燃料取り出しもそうです。汚染水が地下水に流出しないようにすることも、核汚染物質による海の汚染をすぐに止めることもそうです。どこにどんな形で存在しているのかも分からない、メルドタウンした燃料デブリの取り出しには、まだ数十年の時間を要すると見られています。そして、汚染された広大な土地、人々が生活してきた土地の浄化もあります。

ひとつの課題を完了しても、さらにその先に解決すべき数多くの問題が控えている。それが原発事故の困難のひとつでしょう。

4号機からの燃料取り出しを予定通りに完了できたことを自信に、今後も真摯な取り組みを続けられるよう願います。