先日、天気予報を見ていると「西高東低」という言葉を耳にしました。寒さが厳しくなるこれからの季節にたびたび登場する、言わずと知れた気圧配置です。
「なぜ、西高東低になると冬型の天候になるのか?」
かなり昔に学校で習ったものの、天気図に関する基礎知識の多くを忘れてしまっていたので調べました。すると、今さらながら天気図が持っている情報に感銘に近いものを受けました。
そこで、今日は「天気図の基礎」について調べてご紹介したいと思います。もし、学校で習ったことを忘れてしまった方がいらっしゃいましたら、この機会にもう一度復習されてみるのはいかがでしょうか?
気圧について
天気予報で台風や低気圧などを紹介するときに「ヘクトパスカル」という単位を頻繁に耳にします。パスカルは圧力の単位であり、天気予報では気圧の大きさを表しています。
さて、この気圧。いったい何かというと空気の重さだそうです。地球にある大気圏の層は、約数十km~100kmほどと言われています。軽い空気でも数十km以上積み重なって圧し掛かると、その重さは1平方センチメートルあたり、約1kgほどの力が加わっているそうです。
気圧は「空気の層の厚さ」、「空気の流れ」、「気温」などの要因により、場所によって異なるそうです。そして、周囲より気圧が高い場所を高気圧といい、低い場所を低気圧といいます。
日本周辺の平均的な気圧は約1,013ヘクトパスカルほどと言われています。高気圧、低気圧はあくまでも周囲より気圧が高いか低いかであって、ある一定の基準値を元にした高低ではないとのことです。
気圧の単位について、以前は「バール」が使われていたものの、国際的な単位を統一しようとする動きに合わせて、1992年12月1日に現在の「パスカル」に変更されています。
気圧差によって風がうまれる
高気圧と低気圧によって何が発生するかというと、空気の流れが発生するそうです。
高気圧がある場所では、高い気圧によって地表付近の空気が押され、周囲へ流れていきます。流れだした場所では空気が希薄になり、それを補充するように上空から空気が下りてきます。この時に下降気流が発生するそうです。
高気圧から流れ出た空気は、周囲より気圧の低い低気圧がある場所へと向かいます。低気圧がある地表付近では、四方から集まってきた風がぶつかることによって、上空へと流れて上昇気流となるそうです。この一連の空気の流れが風となります。
高気圧から吹き出す風は中心部からまっすぐ流れるのではなく、地球の自転の関係で時計回りに吹き出します。一方、低気圧では反時計まわりに渦を巻くように中心部へと風が流れ込むとのことです。
「西高東低」の気圧配置の場合、西に位置する高気圧から、北西方向の風が吹き出して東に位置する低気圧へと流れ込みます。
この時、寒い大陸にある高気圧の空気は最初は冷たいものの、比較的暖かい日本海海上を移動している際に温められるそうです。温められた空気は、日本列島に到達すると山にぶつかり、雲ができて雪や雨を降らせます。その後、水分を失った空気は再び乾いた冷たい空気となり、山を越えて太平洋側に流れるそうです。
そのため、西高東低の気圧配置では日本海側で雪や雨が降り、太平洋側では冷たい風が吹く冬型の天候になるそうです(昔、学校で習ったことですね・・・笑)
高気圧は晴れて、低気圧では雨が降る理由
通常、低気圧付近は雨。高気圧付近は晴れとなります。これは低気圧で発生している上昇気流によって、地表付近の温かい空気が気温の低い上空に移動すると雲が発生し、天気が悪くなるそうです。一方、冷たい空気が下降してくる高気圧では雲が発生しにくく、晴れるとのことです。
温帯低気圧の前線について
低気圧には大きく分けると「熱帯低気圧」と「温帯低気圧」があります。「熱帯低気圧」は熱帯地方にでき、中心付近の最大風速が約17メートル以上になると「台風」と呼ばれます。
通常、天気予報で低気圧と呼ばれているのは「温帯低気圧」です。北の冷たい空気と南の温かい空気がちょうど接する付近にできることが多く、「温暖前線」と「寒冷前線」を伴うことが多いと言われています。
「温暖前線」は南の温かい空気が低気圧へと流れ込み、冷たい空気と接している境界線のことをいいます。一方「寒冷前線」は北の冷たい空気が流れ込み、暖かい空気と接している境界線のことをいいます。
2つの前線は低気圧の南側にできます。発生当初は通常、温暖前線が南東方向へ、寒冷前線が南西方向へでき、低気圧が移動するにつれて、速度の速い寒冷前線が温暖前線に追いつき、一緒になって「閉塞前線」となります。
一般的に2つの前線と天候について、次のように言われています。
○温暖前線
・前線接近及び通過時:前線が近づくにつれて広い範囲で雲ができ、雨が降り始めます。通常、前線の進行方向約300km付近から連続して雨が降り始めるようになると言われています。
・前線通過後:気温が上昇し、南寄りの風が吹きます。風向や風速の変化は寒冷前線と比べると明瞭ではなく、前線通過後に雨が止むことが多いと言われています。
○寒冷前線
・前線接近及び通過時:前線付近で垂直方向に発達した積乱雲や積雲ができます。そして、温暖前線よりも狭い40~50kmほどの範囲で、約1~2時間程度の短い時間で激しい雨が降ります。
・前線通過後:気温が低下し、北寄りの風が吹き、急速に天候が回復します。
等圧線と風の強さ
天気図には同じ気圧の位置を結んだ「等圧線」が描かれています。通常は4ヘクトパスカル毎にひかれており、この線と線の間隔が狭いほど気圧差が大きく、強い風が吹きます。
等圧線と風の強さについて、趣味でやっているウインドサーフィンの仲間から、以前次のようなことを聞きました。
「あくまでも目安なんだけれども、天気図に描かれている地球の緯線(10度毎に引かれています)の間にある等圧線1本あたり、だいたい秒速にして4m位の風が吹く」
この話を東京で考えてみます。天気図で東京の位置を見ると、上には北緯40度線、下は北緯30度線が引かれています。この間に等圧線が5本あるならば、風速はおおむね秒速20m位になることが多いということなります。
教えてもらってからしばらくの間、注意して等圧線の数と風速の関係を見ていると、確かに1本につき秒速4m程度の風が吹くことが多いように思いました。
天気図の情報を活かして
以上、天気図に関する基本的なことの一部を調べてみました。
個人的にこれまで天気予報を見る際には「晴れ」や「雨」などを表す「お天気マーク」だけを見ていることが多かったように思います。
天気図をよむ上で必要な知識は多いものの、昔学校で習ったレベルのことだけでも知っておくと、天気予報の際、天気図にも関心を持って見れるようになるのではないかと思いました。せっかく天気図という貴重な情報を得ることができるのですから、今後は天気図のデータも活用していきたいと思います。
参考WEBサイト
Text:sKenji