共和党?民主党?。米国の二大政党の違いがよくわからないので調べてみた

昨日5日(日本時間)に投票が行われたアメリカ合衆国の中間選挙の結果、共和党が上下両院において過半数を占めることになりました。

米国の中間選挙については、今週に入ってから特に頻繁に報じられてきました。米国が「共和党」と「民主党」の二大政党制の国であることは知っていたものの、恥ずかしながら「共和党は保守」、「民主党はリベラル(自由主義)」程度の基本的なことしか知りませんでした。

昔、「米国がくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われていたこともありましたが、今でも米国の政治が日本を含めた世界に大きな影響をあたえるのは言うまでもないかと思います。そこで米国の二大政党について調べてみました。

二大政党ができるまでの米国の歴史

まず最初に、アメリカの歴史上、「民主党」と「共和党」がどのようにあらわれたのか調べてみました。

北米大陸にはご存知の通り、もともとアメリカインディアンと呼ばれる先住民が住んでいました。そこにヨーロッパ人が進出し始めたのは15~16世紀のころと言われています。そして、17世紀に入るとイギリス、フランス、スペインなどから大量の移民が入植し、アメリカインディアンの人口は激減したそうです。

入植後、ヨーロッパ列国の植民地時代が続いていましたが、1773年、イギリスが紅茶の貿易を独占しようとしたことに対して住民が反乱を起こしました。これがいわゆる「ボストン茶会事件」であり、この事件をきっかけにイギリスの植民地から独立して、アメリカ合衆国が誕生しました。そして1789年、合衆国初代大統領としてジョージ・ワシントンが選ばれています。

独立後、アメリカ合衆国は西へ西へと領土を広げていきましたが、1861年に国内を二分して南北戦争が始りました。南北戦争の原因は、アメリカ合衆国の「南部」と「北部」の利害の対立です。当時、南部は綿花生産などの農業が主な産業で、その労働力を奴隷に頼っていました。そのため奴隷制度の存続や輸出を有利にするために関税を低くする自由貿易を望んでいました。一方、北部では商工業が発展しており、労働力確保のために奴隷制の撤廃と自国産業保護のために高い関税を望んでいたそうです。

二大政党の始まり

二大政党のうち最初にできたのは民主党だったそうです。その起源は1800年以前にトマス・ジェファソンによって結成された民主共和党にあります。できた当初の民主党は南部大農園主、西部小農民層などが支持層となっており、奴隷制度の存続、自由貿易を主張していました。一方共和党は、1850年代にエイブラハム・リンカーン等によって作られ、北東部の産業資本家などに支持基盤を持ち、奴隷制度の廃止、保護貿易を主張していたそうです。

このような時代背景のなか、1860年に奴隷制度撤廃を主張する共和党のエイブラハム・リンカーンが大統領に選出されると、南部の諸州が反発して「アメリカ連合国」として独立しために、南北戦争に突入したそうです。

民主党について

民主党は一般的にリベラルな政党と言われています。リベラルとは、「自由主義」と訳されているように、宗教的価値観などにおいて進歩的、自由的、合理的な立場をとっており、妊娠中絶や同性愛などに対して寛容と言われています。

一般的に民主党の政策は、環境問題、人権問題、福祉などに関して積極的で、貧困者や弱者に対して優しい政党と言われているそうです。「援助を必要とする人たちのために社会福祉・生活保護制度を確立するのは、政府の義務である」という考えの元、政策実現のために政府が積極的に関与していく、いわゆる「大きな政府」を志向しているそうです。

現在の民主党の支持層は労働者層や、黒人、アジア系、ヒスパニックなどのマイノリティーに多いと言われ、西海岸や東海岸など移民が多い州に強いとのことです。

主な大統領としては、フランクリン・ルーズベルト、トルーマン、ケネディ、カーター、クリントン、オバマ大統領などがいます。

共和党について

共和党は「リベラル」な民主党に対して、「保守的」な政党と言われています。キリスト教右派が支持基盤となっていることから、中絶や同性愛に対して反対の立場をとっているそうです。

一般的に共和党の政策は、大企業及びウォール街などの利害や経済効率を重視していると言われています。民間企業が発展し、経済が活発化すれば、国民が政府にそれほど依存する必要がなくなるという考えの元、自由貿易を推進し、経済政策・社会政策について政府の関与を少なくする「小さな政府」を志向しているそうです。

現在の共和党の支持層は、大企業や軍事関係、キリスト教右派、中南部の富裕層、保守派白人層などと言われており、中西部や南部の州で強いそうです。

主な大統領としては、ジョージ・ブッシュ(親子2代)、レーガン、リチャード、ニクソン大統領などがいます。

共和党が過半数を占める結果を受けて

今回のアメリカ中間選挙では、実施前から中東のイスラム国やエボラ出血熱の対応を始め、民主党のオバマ大統領が実施してきたこれまでの政策に対しての失望から、共和党が有利と言われていました。

実際の選挙結果も共和党が両院で過半数を占めることになったために、民主党のオバマ大統領の政策に対して議会が法案などを否決をする、いわゆる「決められない政治」がよりいっそう顕著になると言われています。そのため、オバマ大統領は議会の承認なしに政策を実施することができる「大統領令」などに頼らざるえなくなるなど、政治の不安定化が懸念されているそうです。

現在、世界唯一の超大国と言われる米国の選挙だけに、中東外交など世界全体に対してどのような影響がでてくるのか、今後が気になります。

参考WEBサイト

Text:sKenji