9月15日から国道6号線は全線で走行可能
福島県の海岸沿いを仙台方面に向かって走る国道6号線。陸前浜街道とも呼ばれるこの国道は、いわき市から双葉郡の町々、南相馬市、相馬市と結ぶ、地元にとって欠くことのできない「動脈」だった。しかし3年半前の原発事故によって、立ち入り禁止エリアが設定され、車による交通も遮断された。いわき方面と南相馬方面の交通は、郡山市や福島市など内陸部を経由して迂回するほかなくなった。
この不便さは一度でも迂回ルートを走ったことがあれば身に染みて実感できるだろう。地元の人たちはそんな不便を3年半も我慢してきたのだ。
とくに南相馬の人たちの中には、関東方面からの交通の便が著しく悪化し、「取り残されるのでは」と危機感を募らせる人たちもいた。せめて常磐道だけでも全通させてほしいという声もあった。これまで規制されてきた区間での立ち寄りは不可とはいえ、浜街道が開通し、いわき方面や関東方面に山越えしなくても行けるようになったことはとても大きい。
国道6号線の沿線では、すでに昨年から住宅や店舗施設の敷地境界にバリケードが設置され立ち入りができないようになっていた。15日の開通後も状況は同じだろう。バリケードの内側に取り残された車もあった。あのフェアレディZがレスキューされるのはいつになるのだろうか。
この交差点を曲がると、その先には事故原発がある。6号線が通行可能ということは、事故原発のすぐ近くを車で走ることを意味する。
通り抜けできるようになったことは大いに歓迎したいが、この高い空間線量の中を走り抜けていかなければならないという事実から、目をそむけてはならない。
全面開通を心の底から歓迎することができないなんて。
原発はどこまでも罪作りな存在だ。