200トン以上の高濃度汚染水が予期せぬ場所へ移送されてしまう「想定外」に見舞われた上、地震、重機の故障など、安定的な操業がほど遠いことを改めて思い知らされた「日報」
4月14日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
汚染水を移送するはずではなかった建屋に、200トン以上の大量の高濃度汚染水を誤って移送
昨日から大々的に報道されているこの事件については、別記事として問題点をピックアップしました。
4月13日の18時16分、福島県沖を震源に発生したマグニチュード4.9の地震についての東京電力の対応
下記の別記事としてまとめました。
作業中の重機の油圧ホースから油が噴き出し
※4月14日午前9時25分頃、1,2号機取水口の止水対策工事において、水素ボンベ建屋の解体作業中に重機の油圧ホースより油が噴き出していることを作業員が発見。
油の漏えいは、現在止まっており、漏えいした油については吸着マットにて処理を行っており、海への油の流出はない。
また、同日午前9時39分に双葉消防本部へ一般回線にて連絡を実施。
重機の油圧ホースから油が噴き出すことは珍しくありません。圧がかかっている時にホースが破損すると、想像以上に派手に噴くこともありますが、適切な処置がとられたとの報告のようです。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
加えて、
・4月13日午後1時57分、集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送を開始。その後、同日午後5時37分に移送を停止。
トラブルでうまく行かなかった移送を再度行ったようです。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月13日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規記載なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月14日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。