GISを活用したハザードマップについて
「防災GIS」ってご存知ですか?
GISを防災に活用したものです。GISとは、地図と位置情報を属性として持つ様々なデータを統合的に扱った情報システムのことで、国土交通省・国土地理院の公式WEBサイトでは次のように説明しています。
地理情報システム(GIS:Geographic Information System)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。
GISの身近な具体例として、カーナビがあります。これは、現在位置を把握し、目的地までの最適ルートを表示するというGISです。そのほかにも、グーグルマップ上で、特定の座標(位置)に写真などを表示したり、目的地までの距離を測ったりするのも、GISの一種と言っていいのかもしれません。
実をいうと「防災GIS」という単語が存在するかどうかは、はっきりとはわかりません。ただ、自治体などを始め、一部では、ハザードマップなどでGISを活用したものを「防災GIS」と称しているようです(※一般社団法人 地理情報システム学会にも、「防災GIS」という分科会があります)。
防災GISは、大変有用です。どのような点が優れているかといいますと、「地図を利用し、視覚的に災害の影響範囲がわかりやすい」ことに加え、「縮尺や表示したい条件を指定することができる」という点だと思います。
GISを防災に活用し、公表している自治体は、まだ少ないようですが、もし、お住まいの自治体が公表しているならば、ぜひ一度、ご覧になられるといいかもしれません。
防災GISの一例。「富士山火山防災GIS」
自治体が公表している、防災GISとは、いったいどのようなものなのか?
先日、静岡県が公開した「富士山火山防災GIS」を例として、見てみたいと思います。
下記の画像は、富士山火山防災GIS・防災マップのスクリーンショットです。左の画像が初期の画面です。画面上の地図の右側に「火口形成」、「火砕流・火砕サージ」などの災害種別のボタンがあります。このボタンを押下すると、地図上の影響範囲を表示します。右側の画像は、「火口形成」→「火口形成可能性マップ」のボタンを押下した際の画面です。
次に、富士山火山防災GIS・広域避難計画を見てみたいと思います。下記、左の画像は、広域避難計画の初期画面のスクリーンショットです。地図の右側にある、条件を指定すると、それに応じて、避難対象エリアが表示されます。
ためしに、「季節(月):4月」、「立場:観光客・登山者」、「火山状況:噴火開始直後」の条件を指定して、避難すべきエリアを見てみたいと思います。結果は、下記、右の画像です。
表示するデータの条件指定以外にも、避難対象エリアを示す表示の透過度を調整したり、地図ではなく、航空写真上に避難すべきエリアを表示させることなども可能です。
富士山火山防災GISを例にしましたが、静岡県では、そのほかにも津波被害を想定した防災GISもあります。
防災GIS、必見です!
防災GISの価値は、実際に使ってみないと実感することができないと思います。
条件を指定して必要な情報を、視覚的に見やすく表示することができる防災GISは、災害の影響範囲などの把握や比較をするのに、大変優れていると思います。
紙(PDF)などの資料では、多くの地図が必要となり、ハザードマップなどが、煩雑になりがちですが、防災GISは、多くの情報を実にわかり易く、確認することができます。
GISを防災に活用している自治体は、まだ限られていますが、居住している自治体が、防災GISを構築し、公表しているならば、ぜひ一度見ておきたいものです。なかでも、静岡県の防災GISは、操作性、情報の種類や量などにおいて、特に優れており、静岡県民の方は必見だと思います。
GISを活用したハザードマップは、見る楽しさも感じることができると思いますよ!
参考WEBサイト
Text:sKenji