2014年2月6日 今日の東電プレスリリース(続報)

2月6日(木曜日)の東京電力発表のリリースの続報です。「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の内容についてチェックします。

「日報」の前にネット公開された「報道関係各位一斉メール」で伝えられた内容が冒頭にまとめて記述されています。

冒頭特記事項

※2月6日午前8時50分頃、福島第一原子力発電所登録センター(*)1階の火災報知器が発報したことから現場を確認したところ、同センター内の機械室から水が出ていることおよび2階で発煙があることを協力企業作業員が発見。同日午前9時10分、消防へ通報。なお、モニタリングポストおよび構内ダストモニタの値に有意な変動はなく、けが人は発生していない。
現場確認の結果、登録センター内機械室の空調設備のヒーティングコイルが破損し温水が漏れた影響で、湯気が発生していることを当社社員が確認。当該コイルの通水元弁を閉にし、同日午前10時14分、温水の漏えいが停止。機械室内の雰囲気線量は、3.0μSv/hであり、床面等からは汚染は確認されていない。
その後、消防による現場確認の結果、火災報知器の警報発報については、同日午前10時45分に、消防から「これ以上の災害に発展する恐れはない」と判断された。明日(2月7日)、火災発生有無の調査のために、消防立会のもとで機械室内の空調設備のモータの分解点検を行う予定。

(*)登録センター:現在は協力企業作業員の休憩所として利用されており、入退域管理施設の北側にある建物。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

「報道関係各位一斉メール」の続編も含めてまとめた内容です。先の記事と同様、以下の二点を指摘したいと思います。

・空調施設の種類や構造についての説明がないため、状況がまったく想像できない。
・「機械室内の雰囲気線量は、3.0μSv/hであり」と記載されているが、過去の数値との比較で示してほしい。

※2月6日午前10時50分頃、5,6号機北側のFタンクエリアに設置しているAタンクとBタンク(A,Bタンクともに、5,6号機タービン建屋地下滞留水を貯水)の間にある流量調整弁と逆止弁間のフランジ部より、水が鉛筆1本程度の太さで漏れていることを当社社員が発見。漏れた水は堰内に留まっているが、一旦ビニール袋での養生を実施。なお、モニタリングポストの指示値に有意な変動は確認されていない。
その後、AタンクからBタンクへの移送配管のAタンク側出口フランジ接合部を切り離して配管内の残水を抜いたことにより、同日午後0時8分、フランジ部からの漏えいが停止。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

「一斉送信メール」に記載されたのと同様の内容です。

・水が止まったと記されているが、漏れた原因についての記載はありません。今後の続報を待ちましょう。

※2月6日午前11時5分頃、淡水化処理した淡水を原子炉注水用のタンク(バッファタンク、復水貯蔵タンク)へ移送する配管の途中に設置されている、異物を除去するストレーナの圧力指示計より水が漏えいしていることを作業員が発見。圧力指示計の元弁を閉めたことで漏えいは停止。漏えいした水は、原子炉注水に使用する淡水化処理後の淡水であるが、淡水化処理した後に原子炉注水として再利用する配管には問題はなく、原子炉注水用のタンクへの水補給および原子炉注水への影響はない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

汚染水から放射性物質などを減らす処理と、逆浸透膜という仕組みで塩分を減らして、炉心の冷却水として使うための水の、逆浸透膜で塩分を減らす装置と、冷却水を貯めておくためのタンクの間の部分で、水の漏えいが見つかったという内容です。

状況次第では深刻な事態につながりかねないインシデントでした。

●漏れた水の放射性物質濃度はどれくらいなのか?

●炉心へ注水する水が足りなくなる危険はないのか?

この二点がとくに気になるところですが、最初の懸念への回答は「日報」には記載されず。二番目の懸念については、「漏えいした水は、原子炉注水に使用する淡水化処理後の淡水であるが、淡水化処理した後に原子炉注水として再利用する配管には問題はなく、原子炉注水用のタンクへの水補給および原子炉注水への影響はない。」と言葉を繰り返して念入りに否定しています。

同日の報道配布資料「 福島第一原子力発電所高台炉注水ポンプ近傍における水の漏えいについて(PDF 384KB)」には、サンプリング結果や、現場の写真も掲載されていました。配布資料によると、漏れた淡水は1㏄あたりの全βが2.8ベクレル(サンプルは昨年12月10日のものとか)とのこと。

通常用いられる1リットルあたりに換算すると、2800ベクレル/リットルの全βを含む水ということになります。

漏れた水の量は600リットルくらいだろう。考えられる原因は、漏れた箇所にあった差圧計が凍結のため破損したことと推定。対策として、1.8×2メートルの範囲で30センチの深さまで汚染した土を回収し、差圧計に凍結防止のヒーターを設置。3月中旬には差圧計そのものを交換するとしている。

この資料が配布された記者会見をもとに報道されたと思われるのが、時事通信などによるニュースでした。

原子炉注水用汚染水漏えい=福島第1原発、600リットル-東電

 東京電力は6日、福島第1原発屋外で、1~3号機の原子炉へ注水するための汚染水が漏えいしたと発表した。汚染水にはストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり2800ベクレル程度含まれているという。
 東電によると、6日午前11時5分ごろ、作業員が一時貯蔵用タンクにつながる配管から汚染水が漏れているのを発見。水中から固体異物を除去する器具の圧力を表示する計器付近で漏れており、その弁を閉めたところ、漏えいは止まったという。漏えい量は約600リットルと推定され、地面に染み込んだ。
 漏れた汚染水は、ガンマ線を出すセシウムや塩分は大幅に除去されている。東電が汚染水を貯蔵するタンク群を囲むせきの水を外部に放出する際の暫定基準値はストロンチウム90で同10ベクレル未満。
 東電は原子炉注水に影響はないと説明している。(2014/02/06-20:26)

引用元:時事ドットコム:原子炉注水用汚染水漏えい=福島第1原発、600リットル−東電

東京電力の担当者に対する記者の突っ込み等で、見えてくる部分もあるのでしょうが、このインシデントについては、残念ながら配布資料の内容以上のものにはなっていません。原発の敷地内に一般の人はもちろん、メディアの人もおいそれと入れるわけではなく、情報は基本的に東京電力から発表されるものに限定されているのです。

1号機(平成24年4月19日廃止)

昨日からの変化なし。

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

2号機(平成24年4月19日廃止)

1号機同様の4項目に加えて、新規事項として次をアンダーライン表示。

※2号機原子炉注水については、今後の作業や工事において、炉心スプレイ系を停止して給水系で全量注水する対応が必要となることから、事前に給水系の全量注水試験を実施し、原子炉冷却状態への影響を確認することとしており、原子炉注水総量(4.5m3/h)を維持しながら、段階的に炉心スプレイ系から給水系に乗せ替える操作を実施中。

2月6日午後1時19分、原子炉注水流量の調整を以下の通り実施。
 炉心スプレイ系原子炉注水流量:2.5 m3/hから1.5 m3/h
 給水系原子炉注水流量:2.0 m3/hから2.9 m3/h

なお、調整後の原子炉注水流量は安定しており、圧力容器底部温度等に有意な変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

※線量が高いとされる2号機での作業や工事がどのようなものなのか注視する必要があるだろう。
※シャワーのように冷却するスプレイ系を風呂水を貯めるような注水系に切り替えるということは、裏読みするならばシャワーを掛ける意味がない場所に炉心デブリが存在する可能性が大きいともとれる。注水方法を切り替えながら、格納容器内部の状況や雰囲気を精査することで、破損した燃料がどこにあるのかを推量する材料になる可能性も考えられるだろう。

3号機(平成24年4月19日廃止)

1号機同様の4項目。新規事項なし。

4号機(平成24年4月19日廃止)

「原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)」「使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中」「使用済燃料プール循環冷却系運転中」

アンダーライン(新規事項)なし。

テレビ朝日のWEBニュース(02/05 22:42)によると、4号機の使用済み燃料棒搬出作業を行う作業台とクレーン付近で高い放射線量が記録された旨、伝えられているが、日報や配布資料には記載が見当らない。(もっと探してみます)

福島第一原発、作業現場で高放射線量を計測
02/05 22:42 ANN

 福島第一原発の4号機では、使用済み核燃料を貯蔵しているプールから燃料棒を運び出す作業が続いている。今回、高い放射線量が計測されたのは、プールの上に設置された作業台と燃料棒を移動させるためのクレーン付近だ。実際の映像では、緑色の構造物付近にあたる。放射性物質の「コバルト60」が発する人体に影響の大きいガンマ線が出ていることが分かった。その量は、核燃料をつり上げる装置の上で1時間あたり81マイクロシーベルト、プール内のがれきを取る作業台の上で90マイクロシーベルトだった。被ばく量が1時間で100マイクロシーベルトを超えた作業員もいたという。原子力規制委員会は、東京電力に早急に対策を取るよう求めている。

引用元:福島第一原発、作業現場で高放射線量を計測

5号機(平成26年1月31日廃止)

・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

これまでと同様の上記の処置に加えて、透明度が悪い使用済み燃料プールの水の入れ替えについて新規事項としてアンダーライン表記。

※使用済燃料プール水の透明度が悪く、燃料取り出し作業に影響を与える可能性があることから、使用済燃料プール内の燃料取り出し準備作業として使用済燃料プール水の一部を入れ替えるため、2月6日午前9時14分、使用済燃料プール冷却を停止(停止時の使用済燃料プール水温度は、15.5℃)。同日午前9時21分、原子炉水冷却(残留熱除去系原子炉停止時冷却モード(SHC))を停止(停止時の原子炉水温度は、32.8℃)。
また、2月6日、使用済燃料プール内に仮設浄化装置によるプール水の浄化を開始。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

※定期点検で停止中だった原子炉にも、さまざまな悪影響があったことがわかる。

6号機(平成26年1月31日廃止)

処置の内容に変更なし。

・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール

処置の内容に変更なし。

・使用済燃料プール冷却浄化系運転中