放射能検査のウラ話 2

検出限界

放射能検査に使われる機械に必ず、検出限界(下限値)があります。
どれだけ少ない放射能を検出できるか、その限界を検出限界(下限値)と呼びます。
この数値は、検査時間、周囲の放射線環境、検査体の重量、密度などで毎回変化します。
測定機器には、測定できる範囲があり、その範囲外ではわかりません。
測定可能な最小の数値が検出限界といえます。
検出限界が30Bq/Kgであれば、30Bq/Kg以上の放射能を検出できますが、30Bq/Kg未満の放射能は検出できません。

ここが非常にわかりにくく、頭を抱えるところです。他の計測器は、明確に数字が出るのに、どうして放射線ではこんな表示になるのか?
ひとまず放射線はそういうものだと覚えてください。いろいろ覚えていくと自然にわかってきます。

検出限界を下げる簡単な方法は、検査時間を長くすることです。検出限界を半分に下げるには、検査時間を4倍にする必要があります。

しかも検出限界は、検査終了後に表示されるため、検出限界を基準に検査をするのは苦労します。計算である程度予想して、検査時間を調整しながら検査することになります。
それでも今は検査中に、検査時間を変更できるようになったため非常に楽になりました。以前は何度も検査終了後に検査時間を変えてやり直していたため無駄な時間がかかりました。

検査時間を長くすることで、検出限界を下げ、精度を上げれば、みんなに喜ばれそうですが、必ずしもそうならないのが、世の常です。

食品の検査で、たっぷり時間をかけて、微量の放射能を検出すると、がっかりして帰る人もいるのです。がっかりする人には精度を下げて、放射能を検出しない、不検出(ND)ほうがいいようです。

実際に、これから食べようとする野菜を検査して、微量の放射能を検出したら、少し気になるのが、当然かもしれません。
スーパーなどで食品の放射能検査結果の報告書を見かけることがあります。同じように微量の放射能を検出していたら、やはり少し気になります。
逆に不検出(ND)のときは、検出限界(下限値)がいくらか注意が必要です。検出限界(下限値)が記載されない報告書は信用できません。

あなたは、何Bq/Kg以下なら、安心して食べられますか?
国際基準の1000Bq/Kg以下?日本政府が定めた100Bq/Kg以下?本音は、不検出(ND)の人が多いのではないでしょうか?
精度を上げて、微量の放射能を検出するよりも、精度を下げて、不検出(ND)のほうが(見かけ上)安心できるということです。
同じ食べるなら、気持ちよく食べたほうが精神衛生上、望ましいのは確かです。
「福島の農作物は安全か?」で記したように一年草の野菜は、安全です。

最後にもう一度質問です。あなたは検査結果が不検出(ND)で検出限界が30Bq/Kgの山菜Aと、検査結果が5Bq/Kgの山菜Bのどちらを選びますか?
 
検出限界がよくわかると山菜Bを選ぶと思いますが、それでも不検出(ND)の甘い誘惑に引き込まれそうになるのは、検出限界のわかりにくさによるものです。