津波について ~前編~

先日、ネットで調べものをしている際に、津波の映像を見ました。これまでも、テレビやネットで目にしてはいましたが、実際に訪れた街を襲う津波の映像を改めて見ると、もう一度、津波について考えてみようと思い、調べてみました。

津波の発生原因

津波の発生原因ですが、ご存じのとおり、主な理由は地震です。

しかし、地震以外で発生する場合もあります。過去の津波を調べてみると、地震のほかでは、主に海底火山や山崩れなどでも起っています。

以前、南米のパタゴニア地方を旅行していた時に、有名な氷河を見に行ったことがあるのですが、氷河が崩落するたびに波が発生して、岸辺に打ち寄せていました。私が訪れたときにはありませんでしたが、過去には、氷河が大規模に崩落して津波が発生し、多くの人が亡くなったと聞きました。

その他、ごく稀な例ですが、隕石が海に落下しても津波が発生するようです。6500万年前、メキシコのユカタン半島沖に恐竜を絶滅に追い込んだ原因と思われる隕石が落ちた時には、高さ200~300mの津波が発生したと言われています。

参考までに、観測史上最大の津波を調べてみると、1958年7月9日に、アメリカ合衆国アラスカ州のリツヤ湾で起きた津波で、524mだったということです。この巨大津波を実際に見た人は、「大量の木々が浮き沈みしながら、石炭のような真っ黒な津波が押し寄せてきた」と、証言しています。リツヤ湾の津波の発生原因は、地震によって湾に面する斜面が崩落したことが原因です。それにしても、500m以上の津波が押しよせてくる光景は想像すらできません。

地震以外の発生要因や、チリ沖で発生した津波が日本を襲い、多くの方が亡くなった歴史が示しているように、津波はあらゆるところで発生して襲ってくる可能性があります。

津波について

津波は巨大な波が幾重にも押し寄せてくるものかと思っていたのですが、実はそうではないようです。

一般的な波の周期は長いものでも10秒程度、波長は通常は150mくらいですが、津波は短い周期でも2分程度、長いものでは1時間以上にもなり、波長が100km以上の場合もあります。

ここでいう周期、波長とは、波の山から次の波の山(もしくは谷から谷)が来るまでの時間と波の長さのことです。波長が長い津波は波というより、上昇した海面が押し寄せてくるようなものだそうです。

次に津波のスピードですが、同一の津波でも水深によって変化します。たとえば、水深5000mの場所では時速800㎞、水深500mでは250㎞、水深50mで80㎞、水深10mで36km、水深5mで25㎞です。

つまり、津波が発生した場合、水深が深い沖では猛烈なスピードで津波が移動し、沿岸に近づくにつれてスピードが徐々に遅くなるということです。ただ、遅くなるとは言っても、人間の足で走って逃げられる速さではありません。100m男子短距離走の世界記録は、ウサインボルト選手の9.58秒ですが、これを時速にすると約37㎞です。津波が見えてから逃げるのでは、遅すぎることがわかります。

岸が近づくにつれて、スピードは遅くなりますが、それに反して波の高さは高くなります。これは岸辺で遅くなった津波が、後ろからくる津波に押される形になることと、湾など地形が細くなり、波が重なることにより高くなります。

参考までに、海上保安庁のWebサイトで東京湾の水深を調べてみると、千葉県富津岬と神奈川県観音崎を結んだラインよりも東京寄りの内湾の水深は、平均水深17m、最大水深70mですが、外側は、急激に深くなっており、深いところでは650mあります。

東海地震が懸念される駿河湾ですが、海岸から一気に落ち込む日本で一番深い湾ということで、その水深は深いところで2500mもあります。

東海地震が起こった際の津波は速いことが予想されます。


<津波について ~後編~ に続く>

参考Webサイト

Text :sKenji