夏休み信州ツーリング ~その1~

本谷川にて

昨年の秋、バイクの免許をとった。正式名称でいうと、普通自動二輪免許というやつだ。

今年3月に125㏄のバイクを購入。購入後、日帰りツーリングには何度か行ったことがあった。

そして、8月。待ちに待った夏休み。念願のキャンプをしながらのロングツーリングへ行くことにする。

さて、どこへ行こうか。

一番行きたかったのは、迷わずダントツ北海道。どでかい緑の大地を走りたかった。

しかし、夏休みは5日間。静岡からだと、フェリーで行って帰ってくるだけで終わってしまう。どう考えても無理だ。

北海道の夢は潰える。

で、次に思いついた行先が

「ビーナスライン」

ビーナスラインは、長野県茅野市から同県上田市の美ヶ原まで続く、全長76kmの高原道路だ。

ビーナスラインには、以前に2回ほど車で行ったことがある。日本離れした開放感ある気持ちの良い道路で、特に標高約1400mの白樺湖から標高2000mの美ヶ原までの区間は、まさに天空の楽園の中を走るような素敵な道路だ。あの道路をバイクで走ってみたいと思った。

夏休みは4泊5日の信州ツーリングに決まった。

1日目

人生初のバイクツーリング初日、収納用ボックスをバイクの荷台に取り付け、キャンプ道具を載せる。そして、この日のために買ったドライバックに、寝袋、服などを入れてバイクに積むと、いざ、静岡を出発。

まずは、山梨を目指す。排気量が125㏄のため、のんびり下道を走る。この日の山梨は、とにかく猛暑。気温は40度を超えたと、ニュースが伝えていた。途中、2度のアイスリーム休憩をとる必要があった。

今回のツーリング中で、1日は山に登ろうと思った。山梨に向かっている途中にどの山を登るか考える。近辺の日本百名山としては、八ヶ岳、瑞牆山(みずがきやま)、金峰山(きんぷさん)があった。

八ヶ岳は1、2泊かけて縦走をすることにして、瑞牆山か金峰山に行くことにする。どちらにするか迷ったが、1日で瑞牆山と金峰山を登れそうなので、両方登ることにした。

ツーリング初日、山梨県北杜市須玉町にある瑞牆山荘の近くまで行く。

瑞牆山荘

2日目

朝起きて、瑞牆山荘の登山口へ向かう。登山口の駐車場にバイクを停めると、準備をして登り始める。登山開始は朝7時。そして、瑞牆山、金峰山を登り、夕方4時半に下山をした。

下山すると、近くの「増富の湯」という温泉に行く。なんでも日本一のラジウム含有量を誇る温泉だそうだ。

「増富の湯」には、温度が異なる4つの湯船があった。匂いはほとんどなかったが、薄い茶色のにごり湯だった。一番温度が高い湯船でも37度。低めだ。37度の湯船に入る。

早めに上がって、今夜泊まるキャンプ場を探そうかと思っていたのだが、湯船で地元のおじさんとの話が長くなってしまい、19時に温泉をでる。

辺りは薄暗くなっていた。キャンプ場を探して移動する気がなえる。とりあえず、近くの食堂で晩御飯を食べながら、どうするか考えた結果、瑞牆山荘から増富の湯の途中にあった美しい渓流沿いでキャンプをすることにした。

3日目

翌朝、起きると渓流に挿し込む朝日が美しかった。

渓流の水を汲んで、持ってきた調理用器具で沸かすと、レトルトご飯を温めて朝食をとる。

早めに出発をしたかったのが、あまりに渓流が美しくて、ゆっくりしてしまう。

今日の目的地は、霧ヶ峰高原。標高およそ1600mの高原地帯でビーナスラインきってのハイライト区間と言っても過言ではない。

地図を見て、どのルートで目指すか検討する。長野県佐久市まで北上して、そこから大河原峠を通り、白樺湖を経由して霧ヶ峰にあるキャンプ場を目指すことにする。

信州の風景は、どこか懐かしさを感じさせてくれるものだった。たびたび停まっては、景色に見入ってしまう。道路も開放感があり、運転していて清々しく、気持ちがいい。

走っていると、八ヶ岳高原線の単線を電車がトコトコとゆく。鉄道ファンではなくても、思わず乗りたくなってしまう電車だった。

出発が遅かった上、景色をのんびり見ていたために、明るいうちに霧ヶ峰のキャンプ場に着くのが厳しくなってきた。

どうしようかと思いながら、女神湖の近くまでくると、気持ちよさそうなキャンプ場を発見。今日は、ここでキャンプをすることにした。

キャンプ場は草地のフリーサイト。気に入った場所を見つけてテントを張る。

積んでいた荷物をテントの中に放りこむと、タオルと着替えだけ持って、峠を一つ超えた蓼科高原まで温泉に入りに行く。距離にして約20㎞の峠道。

温泉に行く途中、スズラン峠という峠を通るのだが、ここから眺めは最高だった。眼下には広大な森が広がり、八ヶ岳の峰々が見える。

キャンプ道具を降ろしたバイクで走る夕方のビーナスラインは一段と気持ちがよかった。

蓼科で温泉に入った後、また来た道を帰る。

キャンプ場に戻ると、晩御飯を作って食べる。下界は猛暑だという話だが、流石は標高1500mのキャンプ場だけあって、涼しくて過ごしやすい。

星空が綺麗だった。


< 夏休み信州ツーリング ~その2~ に続く >

女神湖

Text & Photo:sKenji