数年前、僕はラブホテルと呼ばれるレジャー施設で清掃のバイトをしていました。ラブホの職場環境は「面白いと思えば面白い、特殊と思えば特殊、普通と思えば普通」という何とも不思議な感覚があります。このシリーズ?では謎の多いラブホテルの舞台裏に少しずつ迫っていきたいと思います(脇汗)。
N店長は青森出身で東北弁のキャラが濃い人
僕が勤めていたラブホテルにはN店長という偉い人がいました。しかし、N店長は自店のホテルにいることが少なく、ほとんど別支店のホテルに出張していました。2~3ヶ月に一度帰って来ては社長から臨時ボーナスを受け取り、そしてまた出張に行く。これを繰り返すという謎に包まれた人でした。
青森県出身の強烈な東北弁なまりの持ち主で、一見するとおもしろキャラです。でも、仕事には厳しくて遅刻や欠勤をする人を見つけては「あいつは誰だ?クビさ切る!」というのが口癖でした。とはいえ、実際にクビを切るのを見たことがありません。
僕は原付バイクで通勤していて、たまに渋滞に巻き込まれて遅刻することもありました。N店長は「バイクなんだから車線の中央を走って来い!捕まったらダメだぞ~」というメチャクチャな理論を押し付けてきます。そのコメント自体は面白いんだけど、目が本気なので怖かったですね。
ホテルでは仕事をしないことで有名だった
N店長の特徴はとにかく仕事をしないことです。出張先ではかなりのハードスケジュールらしいのですが、自分のホテルで全くしない。しないどころか毎日パチンコ店に足しげく通っては一発当てるという生活を送っていました。「今日は出なかった…」「今日は当たった!」という感じで大はしゃぎです。
そして、フロントルームの2階にある社員宿舎の大部屋を貸切り、50型のプラズマテレビでネットサーフィンを楽しむ日々。N店長にとっては出張先のホテルが仕事場であり、自分のホテルは休憩所のような感じだったと思います。
やはり店長なのでポイントでは凄味を見せる
無精ヒゲを長老のようにボーボーに伸ばし、だらしない長髪をポニーテールにまとめているN店長のあだ名は『アサ〇ラ』でした。店長として一国一城の主にはどうしても見えないのです。
それでも、フロントにタチの悪い酔っ払いのお客さんから電話があると活躍してくれます。「店長、電話変わってください!」という女性フロントスタッフの鶴の一声でN店長は生まれ変わります。
N店長「はい、どうされました?えぇ、かしこまりました。そうしましたら…」
東北弁などまったく出てきません。全然全然出てきません!カッコいいし頼もしいの一言です。スタッフに見せる顔とお客さんへの対応があまりにも違うので、そのギャップが面白すぎるしカッコよすぎるN店長。こりゃ、惚れるわ~!出張先に愛人もできるわ~!と納得の出来事でした。