すると、
このように菌床(きんしょう)と呼ばれるものが見えてきます。
ここからきのこが育つのだとか。
ナラ、クヌギ等の木粉(オガクズ)と米ヌカ等の栄養分を合わせたものに種菌を植えつけて培養したキノコの培地。
育て方2.湿らせた環境においておく。
【2日目~】
【湿らせた環境に置いておく】のが良いそうです。
要はジメジメさせてやれってことだそうで、そうすることで、菌床に水分を吸わせ、きのこが発芽に向けて準備するのだとか。
ってコトで、濡れタオルをかけてやりました。
日中は仕事に出かけていた僕ですが、これなら安心です。毎朝、タオルを程よく濡らして絞り、きのこに「じゃあ、行ってくるからね」と一声かけて出社しました。毎朝きのこに話しかけての出社です。
ちなみに「毎朝きのこに話しかけてから出社している」とFacebookでつぶやいてみたところ、友達から「大丈夫か?」と心配されるレスを山ほどもらいました。
育て方3.2~3週間待ちましょう。
【14~21日目】
さて、ここからは特にコレといったやるべきことはありません。説明書きによると【湿度を保つよう、霧吹きや濡れタオル交換をしつつ、2~3週間待つ】のだそうです。。
じつはこの間、まったくきのこが出る気配も無かったので、僕もいよいよ飽き……、じゃなくて、不安になっていました。
そんなこんなで【15日目】。
説明書きには「2週間程度で食べられるまでに育つ」と書いてあったので、遅いなぁと思っていました。すると、
おおおおおお!!!
はい、育ってきました。初めてこれを見た時はけっこう嬉しく、勢い余って電話で友達に伝えたりしたのですが、友達の反応は「へぇー」でした。
……まぁ、こういうのはどうしても温度差がありますね。
僕自身、出産して間もない女友達に生まれたての子供の写真を見せられても、「へぇー」しか言えません。当事者と他人でテンションが違ってしまうのは仕方ないのでしょう。
並べてみるとこんな感じです。
しめじもエリンギも、それっぽさが出てきましたね!
育て方4.経過観察
【22日目~】
育て始めて、あっという間に18日くらい経ちました。
説明書きによれば、とっくに収穫できている日数なのだそうですが、寒さや湿度などが大きく影響するらしく、育ち方にはムラが出るそうです。
特に、【僕の部屋は乾燥しやすいうえ、季節も冬真っ只中】。
これでもじゅうぶん育つようですが、成長スピードは遅くなってしまうのだそうです。きのこも生き物なんですね。それでもすくすく育ってくれるので、愛着が湧いてきます。
育て方5.いよいよ収穫!
【26日目~】
嬉しいことに、急にすくすく育ち始めたきのこ。
しかし、ここで疑問が湧きあがります。
「これって、いつ食べごろなんだろう……?」
というのも、
このあたりから、朝の出社時から夜の帰宅時という間でさえ、成長を感じ取れていたのです。育つのは嬉しいのですが、それはつまり、そろそろ刈り取ってやることを意味していました。
今思えば、この26日目のタイミングで刈り取ってやれば良かったのかも知れません。
……と言うのも、僕はここで会社から出張を命じられてしまい、2泊3日で鹿児島へ行くことになったのです。
そして3日後……、
「ただいまー」(きのこに向かって)
わーお!
わーーーお!!
うわああああああああああ!!!
驚いたのはエリンギ。
なんと、重みに耐えられなかったみたいで、そのままもげ落ちていました。傘は見事に反り返り、程よく柔らかったはずの柄もカタくなっています。もはや、僕の知るエリンギではありませんでした。
しめじの方は、ちょっと頼りないくらいにブヨブヨしていました。
出張前はもっとシャキッとしていた気がするのですが……。
僕はこの覇気を失ったしめじをそっと優しく、もぎました。
お別れの時
僕はきのこたちを、優しく刻み、そしてバター、ベーコンと共に塩こしょうで炒めました。
「この1か月、楽しかったよ……」
そんなことを呟きながら、弱火でじっくり火を通します。
バターの風味を漂わせながら、しんなりしていくきのこたち。
ついさっきまで、しめじもエリンギも生きていました。
しかし、そのきのこをもぎ、刻んで炒めている状態について言えば、
しめじもエリンギも死んでしまったのです。
大げさですが、そんな風に思いました。
およそ4週間。
短い付き合いでしたが、彼らのおかげで、生命の息吹を感じる日々を過ごせました。
育ちすぎたくらいですから、「生命をまっとうした」と言っていいでしょう。
ありがとう、きのこたち。
(フキフキ)
なんのこっちゃ
完