2013年7月20日から7月28日まで韓国で東アジア杯が開催されています。シード国の韓国、日本、中国と予選大会を勝ち上がったオーストラリアの4カ国により行われる総当たり方式のリーグ戦を行います。初代表を含めた多くの若手を招集したザックジャパン。第2戦はアジアの強豪オーストラリアとの対戦になりました。
11人を全替えして挑んだ日本は実質的にB代表
日本のシステムは4-2-3-1。GKに権田、DFは左から徳永、千葉、鈴木、森脇、MFはボランチに高橋と扇原、3枚の攻撃的MFは左に山田、中央に大迫、右に齋藤、1トップは豊田という布陣。初戦の中国戦からメンバーを全て入れ替えて新戦力がどこまで通用するのか試されました。スピードと高さを特徴にするオーストラリアは仮想欧州として最適の対戦相手です。
注目されたのは初代表に招集された1トップの豊田陽平でした。トップ下の大迫とほぼ2トップの形でコンビを組み、前線でチームの起点となって完璧なポストプレーを披露。190cm近いDFに背後からチャージを受けても微動だにせず、巧みなダイレクトパスとハードなポストワークで2アシストをマークしました。
豊田の周りを衛星のように動きながらDFの裏を狙い続けた大迫は2得点の大当たり。ゴール前の冷静さとシュート精度の高さを見せました。先発に起用されたMF齋藤学も超絶の高速ドリブルでDF3人を振り切り、技ありのミドルシュートで代表初ゴール。試合終盤にディフェンスの連係ミスから2点を奪われたものの、競り合いに打ち勝って3-2で勝利しました。
前田を大迫に、ハーフナーを豊田に代えるべき
ザッケローニ監督はレギュラーを固定して選手間に序列を作ることでチーム力の安定を図ろうとしています。しかし、オーストラリア戦であっさりと結果を残した大迫と豊田に対してもこの姿勢を貫くつもりなのでしょうか?東アジア杯の後、FWの前田遼一とハーフナー・マイクを起用し続けたとしたら…生き残りをかけた代表サバイバルマッチは形だけの物だったことになります。
絶対的な高さを持つとされるハーフナーも、この日の豊田陽平の動きと比べれば力が劣るのは明らかです。豊田はファーサイドに流れてDFの前から1度消え、クロスが上がる瞬間に中央に飛び込んでヘッドを放ちます。身長差を物ともしない絶大な空中戦の強さは日本最強です。守備力もハーフナーを上回り、前線からの激しいチェイシングで何度もボールを奪い取りました。スーパーサブとしての役割を考えれば、どちらが有効なのかは一目瞭然です。
1トップに固執するより2トップを検討すべき
この試合、FWの大迫と豊田が先発したことで2トップが採用されました。これが結果的に機能したのは驚きました。前線に2つの起点ができることでペナルティエリアでボールが収まり、ディフェンスが2トップに食いついたことでバイタルエリアにスペースが生まれました。
前線でタメが出来たことでMFの山田大記と齋藤学の負担は減り、ドリブルやミドルシュートを自在に仕掛けることで持ち味を発揮しました。こうなればトップ下の本田圭佑のキープ力に頼る必要もなく、中盤のドリブラーである香川真司や乾貴士を有効に活用できるのではないでしょうか。
不安定なセンターバックに活路は見い出せず
初代表の千葉和彦と鈴木大輔の両センターバックは高さでもスピードでもオーストラリアのFWを止めることが出来ず、1対1で振り切られる場面が目立ちました。後半31分、33分の連続失点はディフェンスラインの単純な連携ミスによるものです。
ザッケローニもこれには堪らず、千葉を下げてベテランの栗原を投入する始末。残り1年を切ったW杯本大会を前に、センターバックの補強に難題が突きつけられました。