被災地に行きたいけど、電車と徒歩で簡単に行ける場所はどこかにないかな?
そんなご要望にお応えしましょう。東京から電車で2時間半の近場で、駅から歩いて被災地を見学できて、仮設商店街でたくさんお話を聞くことができる場所。それは、いわき市久之浜(ひさのはま)。
レンタカーを借りなくても、電車だけで移動できて、地元の人たちと話をしたり、お手伝いをしたりすることもできるから、「ボランティアに行くぞ!」なんて力まなくても、ちょっと空いた休日にぶらりと出かけてOK。行けば必ず貴重な経験ができるから大人はもちろん子どもたちにもお勧め。中高生の自由研究にもいいかもしれませんね。
スーパーひたちと常磐線で久之浜へ!
被災地ツアーの起点となるのは常磐線の久ノ浜駅。地名は久之浜だけど駅の名前は「久ノ浜」ってところは要チェック(さらに、駅前の交差点名は「久之浜駅南」だったりする!)。自由研究のうんちくネタになるかもね。
それはさておき、日帰りで久之浜を見学するために利用したい列車をピックアップしました。
特急スーパーひたち15号 10:00上野発⇒12:07いわき着
常磐線普通電車広野行き 12:20いわき発⇒12:34久ノ浜着
東京をゆっくり目に出発しても、昼過ぎには久之浜に到着できちゃうのです。
駅を出ると右側が崩壊した殿上山が正面に見えます。地図で現在地とこれから歩く場所を確認しましょう。
航空写真で見るとよくわかりますが、殿上崎と表示された岬の付け根、南側が白茶けて見えるのが殿上山。久之浜のシンボルとも言える山だから、名前も覚えておきましょうね。
今回は、駅と殿上山を結ぶ道沿いに、まずは河口の方向へ向かいます。
と言っても、久之浜の町を見学するにあたっては、道案内はほとんど必要ありません。
駅を出たら徒歩30秒で交差点。目的地へはそのまま直進するだけだからです。
(ワンポイント情報)
交差点の左にはコンビニがあるので、小腹が空いている人は軽い食事を買っていくのもいいでしょう。ただし、町の見学の後には仮設商店街を訪問する予定なので、お腹一杯になりすぎませんように。
信号待ちをしながら左を見ると、そこにはコンビニ。
交差点を直進すると、大きな被害を受けた町並みが視界の中で広がっていきます。
交差点の先を町の中心部に向かって歩いていくと、道が緩やかに下っていくのがわかります。津波はこの坂道を遡って駅まで達したというわけです。いま歩いているこの道は、津波が押し寄せ、引き波となって建物や車や人を連れ去り、また押し波として町を破壊していく――。そんな悲劇が繰り広げられた場所。
そのことを忘れずに歩いてください。
ほどなく、目の前に破壊された町並みが広がる十字路に出ます。
この十字路からは、思い思いに久之浜を見学しましょう。海岸線を歩いたり、廃墟の中に残った神社(町の人たちの心の拠り所となっています)を巡って歩いたり、かつてどんな町だったのかを想像しながら見学して歩いたり。
ただし、注意点がふたつあります。
ひとつは町で出会った人に、必ずあいさつをすることです。あなたが、この町にとって「敵」でないことを示すためにも、しっかり声に出して、丁寧にあいさつしましょう。久之浜の町は地震と津波、火災、原発事故、さらに盗難の五重苦に見舞われたといわれています。
もうひとつは敷地内に入らないようにすることです。建物が撤去されていても、そこは人々の生活があった場所。楽しいことや悲しいこと、さまざまな思い出が詰まった特別な土地なのです。
とくに、敷地をロープなどで囲っている場合は、決して立ち入らないようにしましょう。まわりでは写真も撮らない方がいいかもしれません。
久之浜の光景から何が聞こえますか?
ここからは写真で久之浜の町の様子をご紹介します。写真を撮影したのはおもに2013年3月7日です。