【島のちょっとイイ景色】出港とお見送り

思い出に突き刺さる!感動のお見送り

 ぜひ体験してほしい「日本を代表するべきお見送り」というものがあります。北海道・礼文島と東京・小笠原諸島です。おそらく、一度訪れると思い出に突き刺さります。

 礼文島と言えば、北海道は宗谷管内に含まれる日本最北の有人島です。いかにも寒そうな島ですが、ある意味、日本で一番熱のこもったお見送りが見られるのではないでしょうか。もう、それこそ歌う!踊る!叫ぶ!昔懐かしいアニメソングやフォークソングを熱唱しながら全力でのお見送りはもはや礼文島の名物!港に集まった青年集団は必見です。

 ちなみに、これを披露してくれるのは、島内にある桃岩荘ユースホステルのスタッフとお客さんを中心としたメンバー。船が本当に見えなくなるまで、延々手を振り続けるお見送りは感動すら覚えるはずです。

 一方、小笠原諸島・父島のお見送りもかなり圧巻です。週に1往復しかしない定期船・おがさわら丸ですから、出港前からなかなかに派手!島の伝統芸能である小笠原太鼓が打ち鳴らされ、まさに島民総出で送り出してくれるのです。

 しかし、それだけではありません。出港後しばらく、まるで大きな魚に群がる魚群のように、島の見送り船※が追いかけてくるのです。この光景を生で見るだけでも、おそらく価値があるでしょう。南の島で散々バカンスを楽しんだ挙句、最後にコレですから、中には感極まって涙するような人も・・・。※ 見送り船・・・島内のダイビングショップなどが所有する小型船のことで、おがさわら丸を追いかけて見送るときは見送り船とよばれる。

 また、島に共通するのが、見送る人に「いってらっしゃい」と声を掛ける文化。「島を自分の家のように思ってほしい」との願いから、訪れた時は「お帰りなさい」、離れる時は「いってらっしゃい」と声を掛けるのです。その島旅が良い思い出ばかりなら、「必ずまた帰ってきます」と心に誓ってしまいいつしか常連客になるという中毒性もあるとかないとか。 この文化は、わりと全国の島々で見る印象で、元々は礼文島が元祖だという説と小笠原が元祖だという説を聞いたことがあります。どちらかはっきりとはしていませんが、礼文島でも小笠原でも「いってらっしゃい」と手を振られれば、思わずぐっとくるものがあるはず。

 島旅の締めくくりは港にあります。上で紹介した島以外も例外ではありません。写真は北海道・焼尻島を出港する際の風景。色々と良くしてくれた島の奥さんが港まで見送りにきてくれました。盛大なお見送りではありませんが、それでも楽しかった分だけ、じーんとくるシーンでした。島を離れゆくとき、こうやって親しくなった人が来てくれたりすると、やっぱり嬉しいものですね!