「花の芽をつなぐ活動」から石巻の街なかへ。壁画をめぐる散歩旅
震災後の石巻は壁画であふれています。もともと石ノ森萬画館へのルート沿いに、石ノ森マンガの登場人物のオブジェがたくさん設置されていて、石巻を訪れる人たちを楽しませてくれてきましたが、いまでは石巻の街なかに描かれた壁画はオブジェの数に匹敵するほどです。立町復興ふれあい商店街のパナックけいていさんを起点に、多彩なパブリックアートを眺めながらの散歩旅はいかがですか。
大学生たちからアートのプレゼント
4つの美術系大学の学生たちと、園芸系の大学生がリレーしながら展開した「花の芽をつなぐ運動」の舞台となった石巻立町(たちまち)ふれあい商店街は、石巻駅から徒歩5分。駅前通りと女川街道の交差点を左折すると、壁面に貼り出された虹のバナーが見えてきます。花の芽をつなぐ運動・第二弾として聖徳大学の学生ボランティアと先生が作成したものです。
聖徳大学は幼児教育を学ぶ学生によるチームだったそうです。かわいくて子どもたちが喜びそうなキャラクターがいっぱい。ただ、バナーを横から見ると虹の上の方が欠けています。もちろん上部が描かれてなくても、ちゃんと虹に見えるし、込められた「希望をつなぐ虹」という思いも十分伝わりますが・・
やっぱり虹をつなげたいと、「花の芽をつなぐ運動・第三弾」、名古屋造形大学の学生たちがフェンスの背後にある仮設店舗の壁面に直接書き込んじゃったのだとか。
フェンスの裏から覗いてみると、虹のすそ野にかくれキャラも。かわいい!
これが名古屋造形大学チームのメイン作品。ふれあい商店街の入り口正面にあります。石巻は魚の町だからモチーフはもちろんお魚です。
学生たちだけではなく、商店街の人たちやお客さん、観光やボランティアの方々など、たくさんの人による合作です。
花の芽をつなぐ運動・第四弾のバトンを受け取ったのは、長岡造形大学のみなさん。
壁面のちょっとしたスペースに壁画を書き込む活動にあわせて、商店街のキャラクターもデザインしました。
「花の芽をつなぐ運動」に参加した人たちが、どんな思いで石巻に来たのか。壁画などを描きながら何を感じたのかなど、くわしいお話はぜひ「花の芽をつなぐ運動」で検索してみてください。たくさんのページがヒットしますが、その中から代表的なものをいくつかご紹介しておきます。
明日へつなぐ絵(花の芽をつなぐ運動第2弾)
ぜひご覧いただきたいのがこちらの動画。石巻の子どもたちと楽しそうに活動する学生たちの様子が描かれています。でも、明るくて楽しい雰囲気の動画の中に、震災当時の生々しい映像が短くカットバックするように差し挟まれています。「この動画はみんなに見てもらいたいんだよね」。動画を紹介してくれた石巻の方はしみじみと語っていました。ここには、いまの自分たちの気持ちがよく描かれていると。
商店街から町中へ飛び出せば
立町ふれあい商店街を華やかに彩っているのは、学生たちによる壁画だけではありません。商店街の床屋さんが描いたプランターのイラストや、石巻の友人を探して石巻に入り、そのまま住民票を移したというchunさんによるイラストなど、味のある手描きのアートがいっぱいです。
石巻を訪れたことがある人なら、この特徴的なイラストに見覚えがあるかも。ふれあい商店街では、敷地がかつて駐車場だったころのテント下のほか、お店の看板代わりにもたくさん描かれています。商店街の外でも、さまざまな場所で見つけることができますよ。そうそう、佐藤ちゃきん屋さんにもchunさんの手描きの看板が掲げられていました。