北ヨーロッパのフィンランドでは『奥様運び世界選手権』という奇妙なスポーツ大会があります。全長253.5mのレース場が用意されており、夫が奥様を担いで走って誰が一番早いのかを競うという不思議なスポーツです。1997年から15年連続で開催されている伝統ある大会で、2005年にはNBAのスーパースターであるデニス・ロッドマンも出場したのだから驚きです!
その昔、フィンランドでは求婚のために近隣の村から娘をかっさらうというブラックな習慣があり、それを無理やりジョークに結びつけて競技化したのが奥様運び選手権らしいです。かなり厳正なルールがあるスポーツで、奥様運び国際大会競技委員会の定めた競技規則があります。
大会の主なルール
・コースの全長は253.5mで、所々に砂地と草地、砂利道が混在する。
・コースには2つの乾いた障害と深さ1mの水たまり障害を備える。
・奥様は夫の配偶者である必要はなく、恋人や隣人でも構わない。
・奥様の体重は49kg以上であること。不足分はおもりで49kgを満たす。
・奥様が地面に落下した場合、15秒のペナルティが与えられる。
・使用が許される用具はベルトのみ。奥様はヘルメットの着用義務がある。
・必要な場合、それぞれの責任で保険に加入しなければならない。
ルールを見た限り、かなりハードなスポーツであることが予想されます。奥様の体重が49kg以上というのはかなりきつそうですね!50kg近い女性を背負って250m以上も移動するなんて相当の根性がいるはずです。奥様が脳天から地面に直撃したらと想像すると危険です。保険の加入が必要なのもうなずけますね。
勝敗を決めるポイントは奥様を運ぶ姿勢にあるそうです。肩車やおんぶ、お姫様だっこなどが考えられますが、多くの優勝者を輩出しているエストニアスタイルという運搬法が現在の主流。この姿勢は奥様が夫の首回りを足で挟み、夫の背後にぶらさがって腹部にしがみつくという大胆なもの!こんな恥ずかしい運搬法を許せるなんて、男女の関係性がないと難しい気がします。この姿勢は頚部が圧迫されにくいので失神率が低く、エストニア出身のカップルから多数の優勝者を出したことで最強にして最速の奥様運び法となりました。
2011年大会では6500人の大観衆が見守るなか白熱したレースが行われ、優勝したカップルの夫はフィンランド人のタイスト・ミエッティネンさん(46歳・弁護士)が前人未到の3連覇という偉業を果たしました。2009年大会まで、11年連続でエストニアの選手に奪われていた優勝という栄誉をフィンランドに奪還した英雄です。
優勝者には奥様と同じ体重分のビールが贈呈されるそうなので、少なくとも49kg以上のビールが貰える計算になります。ちなみにアメリカや香港でも奥様運びレースが行われていますが、フィンランドで開かれる大会が世界最高峰と呼ばれ、世界各地の優勝者はこの大会に招かれるということです!