島が有人島として存続することの意義(1)

「離島の役割」ってナンだ?

 国土交通省(法律としての離島振興法)の見解による「離島の役割」についてまとめてみよう。離島は観光や自然保護だけでなく、その全てが日本において重要な役割を果たしている。

国家的役割

 もっとも重要な点は日本の排他的経済水域や領域の保全。かんたんに説明すると、日本が自由に漁業や調査・開発に取り組める範囲は、島の存在によって決められているという点だ。この範囲が447万㎢。日本の国土面積のおよそ12倍という広さの海を持つことになる。 ひとつの島、どんな小さな島でもそれが日本の島であれば、その周囲370kmは日本の排他的経済水域なのだ。これはかなり広大であり、日本の経済における影響力も計り知れない。(だからこそ離島の主権問題が勃発するのだが)

 なるほど。島は存在するだけで、意味があるようだ。でも、それでは有人島でなくても良さそうな気もする。最南端の沖ノ鳥島や、最東端の南鳥島なら諸外国船を監視する役割もありそうなものだが、国内の大半の有人島は本土周辺の小さな島々である。

国民的役割

 食料の確保、癒しの空間、伝統的な祭り、独特の景観を守る役割。島には独自に形成された文化が多数ある。それらは人から人へ伝え残していかなくては、いずれ消滅してしまう。島に人が住み、伝承されることによって、貴重な文化や自然が損なわれることなく存続していく。

 こちらが、いわゆる一般の人々にとっての「離島の役割」だろう。島で暮らしが営まれることによってのみ、島独自の文化が守られると言って良い。

 問題点は過疎化の進行だ。農作業や漁業で食うに困らない生活を保っていた時代は良かったのかもしれない。しかし、時間が流れるにつれ、仕事や生活は都市部に集約、島で継続的に暮らすことは基本的に容易ではない。人が減るほど、仕事は成り立たなくなり、仕事が成り立たないからこそ、暮らしの利便性も低くなる。そんな悪循環に陥っている島が多々あるのだ。今では学校が無い島も多く、高齢化も著しい。 そうするとどうなるか。上記の離島が担う国民的役割が損なわれる可能性があるのだ。