【澤穂希 VS 猶本光 or 田中陽子】 なでしこに召集されるボランチは誰だ!?

U-20女子ワールドカップで銅メダルを獲得し、一躍全国区の人気となった『ヤングなでしこ』。2015年のワールドカップに向けて、この世代のプレーヤーが『なでしこジャパン』の新戦力になることが期待されています。3年後を見据えた上で、国際大会で活躍できるのは誰なのか?今回はボランチ編として、注目の選手をピックアップしたいと思います!

澤穂希の後継者は猶本光か田中陽子か?

長年に渡ってなでしこジャパンを牽引してきた34歳の澤穂希。彼女がいつまで日本代表でプレーできるのかという問題が議論されています。澤の後継者を育てることが女子サッカー界の一つの課題となっているなか、U-20女子ワールドカップで彗星のごとく現れた2人のボランチが注目されています。ヤングなでしこのスーパースターとして全国区の人気を得た猶本光と田中陽子。どちらが澤穂希の後継者としてふさわしいのでしょうか?

ポスト澤のファーストチョイスは猶本光

筆者の個人的な意見ですが、ポスト澤のファーストチョイスは攻守にバランスの取れた猶本光です。猶本の場合、中盤の底からゲームをコントロールするレジスタという印象を受けます。対人守備が強くてマンマークに優れるだけでなく、危機察知能力にも長けており、バイタルエリアの危険なゾーンを万遍なくカバーリングします。守備者として有能なセンスを持っているので、純粋なボランチとして考えるならば彼女が後継者として適任でしょう。

攻撃面ではダイナミックなオーバーラップが猶本光の武器。中盤の司令塔として左右にパスを散らしながら、好機と見れば意表を突いたパス&ランで一気にアタッキングサードに突入。一撃必殺のミドルシュートと精度の高いドリブル突破でゴールに迫ります。澤穂希との違いは勝負どころでの思い切りに欠ける点でしょう。劣勢時に勝負をかけたい場面でも、守備のリスクを意識して攻め切れない姿が目立ちます。左右両足に強力なシュート力を持つだけに、ここ一番での得点力が加われば澤に匹敵する攻撃型ボランチが誕生すると思います。

田中陽子はボランチとして適任か?

U-20女子ワールドカップでトップ下と左右のサイドハーフ、ボランチをそつなくこなしたのが田中陽子です。破壊力抜群の高速ドリブルと両足から繰り出される無回転の弾丸シュート。DFの裏をあざむく華麗なスルーパス、ここ一番でゴールを奪える魔法のフリーキック。攻撃者としては完璧な選手で、若い時代の澤穂希を彷彿とさせるプレースタイルで相手守備網をズタズタに切り裂く類まれなアタッカーです。守備面では豊富な運動量で前線から中盤まで90分間激しいチェックを怠らず、前に出るインターセプトに強い力を発揮します。攻守の切り替えが速く、ボールを奪ってから一気に速攻を仕掛けるプレーを得意とします。

猶本のように攻守のバランスを保ちながらゲームメークに徹するセントラルミッドフィルダーではなく、3列目からペナルティエリアに飛び出して行く超攻撃型ボランチです。得点に絡むプレーが最大の特徴なのでボランチとして起用するのではなく、よりゴールに近いポジションに置いた方が怖さが増すと思います。

A代表のシステムに田中を当てはめるとしたら、4-4-2の右サイドハーフか左サイドハーフが適任でしょう。左右両足から高精度のミドルシュートを打てるので、中央にカットインしてからの得点力にも期待が持てます。アシスターとしてもゴールゲッターとしても高い能力を持つので即戦力としてA代表に通用する選手だと思いますが、どのポジションで起用するかについては悩ましい問題です。澤穂希のように若い時代はゴールゲッター、晩年はゲームメーカーという道をたどる可能性もありえます。そういう意味では澤の後継者として最も近い存在だという見方もできますね。 面白い因果関係を感じさせてくれます。

総括

佐々木監督がどのような選択を取るのかは分かりませんが、A代表に召集した猶本光と田中陽子をボランチで組ませて早い段階からレギュラーとして育てる方針も有りだと思います。なでしこジャパンでは澤穂希と阪口夢穂がダブルボランチを組みますが、澤が攻撃者で阪口が守備者という役割分担は、猶本と田中の関係にも似ています。2組のダブルボランチを比較した場合、得点力という意味では『猶本・田中組』に分があります。世界最強のダブルボランチが誕生する可能性もあるだけに、今後の動向が注目されます。

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