つるむらさき(じゅびん) - 栄養価はまさにほうれん草の強化版 【変わった野菜】

健康にも、発熱にも、便秘にも・・・

 つるむらさきという野菜をご存知でしょうか。東南アジア原産、中国で広まった野菜です。食用としては2000年近い歴史を持ちます。 しかし、国内においては歴史が浅く、流通し始めた当初(江戸時代)は、2mほど伸びるつるを楽しむ観葉植物・・・今で言うところの緑のカーテン(?)のような役割で親しまれていたとか。

 したがって、国内で食用とされたのは比較的最近で、近年は健康野菜として注目を集め始めています。浅い歴史の中では主に沖縄で親しまれており、「じゅびん」という方言で呼ばれ、島野菜として、スーパーや直売所、さらには観光客向けの販売も見かけます。また、民間療法として期待されている側面もあり、沖縄では発熱時や便秘時に「じゅびんを食べなさい」と言われるほど。人々の間でも健康に良いという印象があります。 国内では東北地方を中心に、わずかながら流通があるようですが、つるむらさき自体は国内の地域を問わず育ちます。見かけたらラッキー(?) 

3つのポイント

1.ほうれん草よりも高い栄養価

 よく比較されるのがほうれん草。つるむらさきの味は「ほうれん草と似ている」とよく言われますが、栄養価はほうれん草の強化版とも言えます。 皮膚や粘膜の健康に良いビタミンA、コラーゲンの生成に関与するビタミンCはほうれん草の1.2倍あります。さらに特筆すべきはカルシウム。カルシウムはほうれん草の3~4倍含み、同量で比較すればヨーグルトをも凌ぐほど。骨粗しょう症予防や骨の生成にも積極的に摂取したいところです。

 加えて、疲労回復効果のあるビタミンB群、血に良い働きをもたらす鉄分、亜鉛、カリウム・・・などなど。さすが、中国で長らく食べられてきた野菜。その効能はダテじゃない!!  

2.やみつきになる2つの食感

 食べる上で楽しめるのが2つの食感です。茎の独特の粘り気、そして丸っこい花のプチプチ加減!これがなかなかくせになります。 つるむらさきに刃を入れると、そこからほのかに粘り気を感じます。その粘りを楽しむ意味でもおひたしはおすすめ。シンプルにおひたしでもなかなかイケますが、より粘り気のあるオクラや昆布と和えてねばねばをプラスするのもマル。味付け次第ではご飯も進みます。

 そして注目したいのが、花の部分。白みがかった丸っこい花の部分は、プチプチとほのかに口の中ではじけます。これがまたいいアクセント!ヤミツキになります。

3.独特の青臭さ

 味はほうれん草に近いとされ、栄養はそれ以上に豊富なつるむらさきですが、あえて欠点をあげるとするならその青臭さ。おひたしなど人気ですが、湯がきすぎには注意です! 沖縄ではみそ汁の具にもなるつるむらさきですが、うかつに湯がきすぎると青臭さが一気に広がります。どうやらつるむらさきの調理の鉄則らしいですが、レシピなどを見渡すと必ず「さっと湯がく」と書いてあります。実際筆者もこうすることで青臭さは広がりませんでした。

 また炒め物にするときは香りの強いものや油と合わせると、ぐっと美味しくなります。例えばごま油やにんにく、唐辛子系の調味料など。特にごま油を使ったレシピは多く見かけるので、相性も良さげです。これらを使うことで、わりと香りも気にならなくなりますよっ。  

かんたんレシピ

おひたし

さっと湯がいて(鉄則)しぼり、好みの調味料とあわせるだけ。筆者はコチュジャン、醤油、ごま油、砂糖の合わせダレ(1:1:1:0.5)で食べるのが好きだったりします。

炒め物 (豚肉とつるむらさきのオイスターソース炒め)

フライパンにごま油を熱し、豚肉(おろしにんにく、醤油、酒で下味)、にんじんの順に炒め合わせます。最後につるむらさきを投入しオイスターソースで味付け。ご飯が進む味に仕上がります。

つるむらさきスープ

たまねぎ、にんじん、つるむらさきをバターで炒め、しんなりしたら粗熱をとってミキサーにかけます。ミキサーにかけた具材に牛乳を加え、ブイヨン、塩胡椒、粉チーズで調味して完成。青臭かったはずのつるむらさきが、パセリのようなアクセントで楽しめちゃいます。具にウィンナーやベーコンを加えても美味。