ハンダマ(スイゼンジナ、キンジソウ) - 滋養強壮、疲労回復効果の健康食材 【変わった野菜】

地域ごとに違う名前の健康食材

 ハンダマという野菜をご存知でしょうか。緑色ですが、葉や茎はところどころ紫がかっています。沖縄にて健康食材として親しまれており、おひたしのほか、みそ汁に入れるなどします。 この野菜、沖縄では主にハンダマと呼ばれていますが、そのほかにもパンダマ(与論島)、パルダマ(宮古島)、ヌブシサギ(沖永良部島)、スイゼンジナ(熊本)、キンジソウ(石川)などなど、色々な呼ばれ方をしています。学名はスイゼンジナですが、地域色が強いため、あまり知られていないようです。

 元々はインドネシアなどの熱帯地方原産と言われ、日本へは中国を経て18世紀に伝わりました。全国的な流通こそしていないものの、各地で長寿、滋養強壮、疲労回復の効果を期待して食べられています。

3つのポイント

1.それぞれの地域ならではの食べかた

 特に沖縄や鹿児島の島々では滋養強壮のほか、民間療法として食べることを推奨する文化があります。そのため、食べ方の工夫にも富んでおり、コロッケや春巻きの具に入れたりと、揚げ物や肉とも一緒に食べることが多いのも特徴。素材そのものの味より料理の具として、味を引き立てます。何気なく出される料理の中にハンダマが含まれていることも・・・? 一方、熊本や石川などでは酢の物やおひたし、てんぷらなど、素材そのものを味わう調理が多めな印象があります。 

2.疲労回復にテキメン!

 地域差はあるものの、収穫期は概ね6月から11月ごろ。筆者にとっては「夏場の健康食材」という印象が強いです!含まれる栄養素はほうれん草に近め。ビタミンAやカルシウム、鉄分が豊富で、ほうれん草同様、疲労回復効果が期待できます。(ビタミンAはキャベツの10倍、鉄分はレタスの7倍) また血圧を下げる働きがあることも見逃せません。沖永良部島ではヌブシサギと呼ばれていますが、これは、血圧が「のぼる(ヌブシ)」「下げる(サギ)」という意味です。また、この紫色と言えば、ブルーベリーなどでもおなじみのアントシアニン。体内で吸収され、動脈硬化の原因とも言われる「コレステロールの酸化」を抑える働きがあるのです。まさに嬉しいことづくめ!

3.ややクセのある味

 万能な健康食材という印象ですが、人によってはクセを感じる味なのがやや難点。食べた人はよく「個性的な味」と評しますが、その要因となるのが、ほのかな苦みと茹でた時のねばりです。どうしても好き嫌いが出てしまいます。

 濃い味付けでクセを軽くしたり、おひたしをつくるときに二度づけをするなどして、クセを抑えることもできます。もしクセが苦手なら試してみてはいかがでしょうか。味の感じ方は個人差なので、上手く付き合ってみてください!筆者個人はそのままの味で十分美味しいのですが・・・。 

かんたんレシピ

酢味噌和え

味噌、酢、砂糖、みりんを1:1:1:1の割合で混ぜ、さっと湯がいて絞ったハンダマに掛けるだけ!これが素朴ながらなかなかイケます!和えたものを冷奴に乗せてもマル。

てんぷら

衣をつけて揚げるだけ。苦味のある野菜もてんぷらだと美味しい!

ハンダマとベーコンのピリ辛炒め

オリーブオイルで軽く炒めたにんにく、鷹の爪に、ベーコン、ハンダマの順で投入。塩胡椒の調味だけでご飯が進む味に!