なでしこジャパンがオリンピックで銀メダルを獲得したことで、女子サッカーの人気が増々高まりましたね。皆さんは『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在をご存知でしょうか?U-20代表と呼ばれいる20歳以下の選手達です。彼女達の最大の目標になっているのがFIFA U-20女子ワールドカップ。
今大会で6度目となり、2012年8月19日から日本で開催されています。世界6大陸から全16カ国が参加しており、計32試合が行われます。日本は予選Aグループに入り、決勝トーナメントに向けてし烈な争いを繰り広げています。今回は予選グループリーグ第一試合、日本VSメキシコの対戦レポートをお届けしたいと思います!
近未来、なでしこジャパンを支えるスター軍団!
澤穂希に代表引退の話が出ている今、女子サッカーは若手の育成が急務だと言われています。なでしこジャパンの世代交代をどうするべきか?4年後のオリンピックを考えた場合、避けては通れない問題ですね。しかし、今回のU-20代表にはスター候補生がズラリと並んでおり、その心配は無用だと感じています。
スーパーレフティーと呼ばれる万能型MFの仲田歩夢、左右両足で自在にボールを操るゲームメーカーの田中陽子、U-17ワールドカップで5人抜きドリブルからゴールを挙げた横山久美、18歳にしてA代表候補に名を上げたボランチの猶本光、高卒新人ながらリーグ戦で開幕から4試合連続ゴールを挙げたストライカー京川舞、ロンドン五輪で活躍した天才ドリブラー岩淵真奈など、金の卵が揃っています。
力の差は歴然、圧倒的にゲームを支配する日本
日本のフォーメーションは4-2-3-1、1トップにポストプレーの上手い道上彩花を置き、左に仲田、中央に柴田華絵、右に田中美南という3枚の攻撃的MFを配置します。中盤の底に猶本と藤田のダブルボランチ、その下に4人のラインディフェンスを置くシステムで挑みます。対するメキシコは4-3-1-2というフォーメーションでディフェンスの前に3人の守備的MFを置き、ゴール前で守備の人数をかけるディフェンシブな戦術を採用してきます。
テクニックと運動量に勝る日本は、序盤から圧倒的なボールポゼッションを保ってゲームを支配。左サイドの仲田歩夢と右サイドの田中美南を攻撃の起点にすると、両サイドバックが積極的にオーバーラップしてサイドをえぐります。メキシコのDFをサイドから揺さぶることで中央にスペースが生まれ、前線のFW道上に一度ボールを預けてタメを作り、細かいパス交換から仲田と田中美南が中央に切れ込んでドリブルシュート。こぼれ球をボランチの猶本が拾って二次攻撃をしかけます。メキシコは日本の速いパス回しと一対一のスピードについてこれず防戦一方の展開。
MF柴田の得点から怒涛のゴールラッシュ!
前半32分、ペナルティエリア手前でGKのクリアボールを拾った田中美南が中央にスルーパス。これを受けた柴田華絵が巧みなステップでDFを交わしてシュート、GKの足に当たったボールがゴールに吸い込まれて先制点をゲット!均衡が破れると日本はここからファインゴールを連発します。
後半11分、右サイドのスローインを田中美南が受けると中央のスペースにパス、そこにボランチの猶本光が飛び込んで目の覚めるようなミドルシュート、カーブのかかったボールはGKの手から逃げるようにしてゴール左隅に突き刺さります。後半32分、途中出場のMF横山久美がゴール前でDFのクリアボールを拾い、ペナルティエリア付近左から思いきりよく右足を振り抜いて豪快なミドルシュート、GKの頭を超えたボールはクロスバーを叩きながらゴールに押し込まれて3点目を奪います。
後半44分、右サイドからドリブルで突破した田中美南をペナルティエリア内でDFが後ろから倒してPKを獲得。このPKを途中出場したMF田中陽子が落ち着いて決めて4ゴール目。その直後、ゴール前に上がったロングボールをGK池田が痛恨のキャッチングミス。それをメキシコのMFフエルタに押し込まれて1点を失いますが、このままタイムアップ。4-1という快勝で幸先のいいスタートを切りました。
A代表でも即戦力となる選手を追え!
U-20代表の『ヤングなでしこ』をA代表の『なでしこジャパン』と比較した場合、全体的なスピード感、フィジカルコンタクト、運動量に欠けるという印象を持ちました。戦術も含めたチーム全体のクオリティは1ランク落ちるでしょう。しかし、選手個々の能力だけを見れば、A代表に負けない力を持っていると感じます。左サイドハーフで先発した仲田歩夢は足元のテクニックとフィジカルコンタクトに優れており、DFに囲まれてもボールを失わない抜群のキープ力を発揮しました。トリッキーなドリブルでDFを振り切ると得意の左足で精度の高いパスを繰り出して何度も決定機を演出しています。
2点目を決めたボランチの猶本光のミドルシュートは圧巻でした。長距離からあれだけ精度の高いシュートを打てる選手はA代表にもそうはいないでしょう。守備能力も高く、一対一の守備では巧みな寄せで何度もボールを奪取。危機察知能力も高く読みの鋭いプレーヤーで、ポスト澤と呼ばれているのも頷けます。
後半途中からトップ下に入った田中陽子ですが、バイタルエリアから力強いドリブルでメキシコのDFを何人も抜き去ってシュートまで持っていく突破力は凄まじい破壊力がありました。右利きでありながら左足も自在に操れることからポスト宮間と呼ばれる逸材です。DFでは左サイドバックの浜田遥の攻撃参加が目立ちました。90分を通してフィールドを上下する運動量は驚異的であり、元フォワードということもあって攻撃センスが高く、スピードのあるドリブルで左サイドを切り崩していました。
総括
今回のU-20女子代表は、U-17ワールドカップで準優勝したメンバーを中心に構成されています。コンビネーションという意味では調和が取れていますし、チームの雰囲気もリラックスしていて明るさがあります。本気で優勝を狙いにきたヤングなでしこがどこまで快進撃を続けるのか、楽しみにしたいと思います!