「結局、この牛乳が大島を支えてるから」
出店の店長さんはそう力強く言います。伊豆大島、大島温泉ホテルにて行われている「おおしまつつじまつり」に参加しました。元々年に1度、5月中旬という”つつじ”の季節に、大島温泉ホテルにて細々と開催されていた「おおしまつつじまつり」。年々参加者が増え、ここ数年は出店の数も増え、賑わっているそうな。 そんな中、大島名物の「大島牛乳」「粉末唐辛子」「おかのり」を販売していたのが、白井嘉則さん。なんの共通点があるのか、飲料、野菜、加工食品を販売していたが、実はどれも白井さんが手がけてきたものと言います。
酪農の島、「ライフライン」
そこで頂いた牛乳はなんともあっさり風味のジャージー種。いわゆる良質な牛乳というと、コクがあって濃厚なんてイメージですが、コクはそのままに濃厚がゆえの重たさが一切ないのです。しかし、美味しい。よく冷やすと、夏場でもすっきり飲める・・・そんなイメージでしょうか。コク深い味わいと共に駆け抜ける清涼感。(あ、この言い回しが好きだ。笑) また、特にPRしているわけではありませんが、低温殺菌。味わいも非常に大切にされています。 そんな大島牛乳ですが、採算が合わず、一時は島内すべての工場が閉鎖してしまい、大島牛乳は島から消えてしまったと言います。(2007年頃) しかし、大島の名産品を他に見てみますと・・・、大島バター、(大島)牛乳煎餅、アイスクリーム・・・。大島牛乳は、あらゆる場面で大島を支え続けていたのです。
ふたたび「酪農の島」へ
「この島に大島牛乳はなくてはならない」
こうして島民の有志ら2人が声をあげたところから再出発し、新会社が設立、見事復活を遂げ、現在に至ります。昭和初期には合計1200頭の牛を数え、島内に点在していた牧場も、今は空港近くにひとつだけ。牛乳に限れば島外への流通もありません。かつて「酪農の島」と呼ばれた島は、今まさに再起をかけて奮闘中なのです。 「だからこそ、広く知ってもらいたい。」と、白井さん。実は大島牛乳愛好者同友会事務局長という肩書を持っているのです。物流のラインにこそ乗りませんが、空港や高速船もあり、行き来しやすくなった伊豆大島。その他、「牛乳煎餅」など、日持ちの良い加工品もあり、これもまた島の名物です。酪農の島・大島の顔とも言える「大島牛乳」は、あっさりとした味わいの背景に、どっしりとした島民の想いが詰まっています。