昨日の名言「公表は勇気ある決断だ」

~ 昨日の名言 2012年4月23日 ~

「公表は勇気ある決断だ」

福島県の避難区域見直しに関連して、4月22日、枝野幸男経済産業相、平野復興相ら政府関係者と福島県双葉地方の町村長との意見交換会が福島市で開催された。その席で政府は今後20年の空間放射線量の予測地図を公表した。

示されたのは、除染をしない場合を想定し、現在、1年後、2年後、5年後、10年後、20年後で空間線量推移を予測した6枚のマップ。

それによると、帰還に5年以上かかる「帰還困難区域」の対象となる年間50ミリシーベルトを超えるエリアが、10年後にも残るとされる。

4月23日の産経新聞記事「地元首長、線量減予測に一定評価 福島第1」によると、この予測地図に対して地元首長(記事では誰の言葉かは特定されていない)が発言したのが、「公表は勇気ある決断だ」との言葉だ。

記事後半では、双葉町の井戸川克隆町長の「(線量の減少が示されたことは)住民に希望を抱かせる。長いスパンの予測を公表するのは難しかったと思う。国はよくやった」との言葉と、富岡町の遠藤勝也町長の「理論上のことで、本当にこの通りになるのかという疑問もある」という言葉が紹介されている。

避難区域を放射線量によって「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」、「帰還困難区域」の3つに再編するというニュースが流れた際、帰還まで5年以上(帰還困難区域)という時間の長さに驚いた人も多いだろう。

仮住まいを強いられる期間が5年以上だとしたら、それは「仮住まい」と言えるのか?原発事故で長年暮らしてきたふる郷から強制的に避難させられた人の気持ちを考えれば、「10年経っても帰れない場所もある」という予測は明るいニュースとは言えない。

それでも、地元首長の中に「公表は勇気ある決断だ」と前向きな発言をした人がいた背景にあるものが何なのか、考えさせられるニュースだ。

双葉町長、富岡町長の発言からも読み取れるように、とかく情報を隠していると非難され続けてきた政府への「不信感」がベースにあることだけは間違いないだろう。

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文●井上良太