南鳥島

日本の最東端、南鳥島

日本の最東端「南鳥島」をご存知でしょうか。日本の最南端の「沖ノ鳥島」と間違えられることも多く知名度は高くありません。沖ノ鳥島はサンゴ礁から突き出た2つの岩と言ってもよいような島ですが、南の鳥島は、以前は民間人も住んでいたれっきとした島です。別名はマーカス島。形はおにぎりのようなほぼ正三角形をしており、滑走路もあります。山はなく、最高地点の標高は9メートル。島の周りはサンゴ礁で浅くなっているため、大きな船が入港することはできません。また、サンゴ礁の外側はすぐに深さ1,000メートルにも及ぶ断崖になっています。

記録では、1864年にアメリカ・ハワイの船、モーニングスター号が来訪。「白い砂浜で、樹木と灌木が密生している」と報じています。このとき、マーカス島と命名。その後、アメリカの測量船やフランスの軍艦などが発見。島の存在は多くの欧米人の知るところとなりましたが、絶海の孤島で上陸も容易でなかったため、長い間無人島として放置されてきました。日本人が南鳥島に渡ったのは明治になってから。1896年(明治24年)になると、水谷新六が南洋の開拓を目指して、母島より46人を移住させ集落を形成しました。

その後、太平洋戦争を経て、一時はアメリカ軍が占領。1968年に日本に返却されました。現在は、海上自衛隊・海上保安庁・気象庁の職員や関連工事の作業者などの仕事で出張している人以外は住むことができません。気になる生活の様子ですが、南鳥島には川がないため、以前は、生活水はすべて雨水を利用していました。滑走路に降った雨や屋根に降った雨を貯水槽に貯めて使用していたそうです。今では海水から真水をつくる装置が整備されているため、生活水に困ることはありません。

食料や生活物資は、神奈川県の綾瀬から自衛隊機によって送られてきます。南鳥島でもパパイヤやヤシの実は採れるそうです。作家の池澤夏樹さんも南鳥島に来たことがあるそうで、その様子は『南鳥島特別航路』に詳しく書かれています。