大腸内視鏡検査のおしり

の続き、もう少しだけお付き合いいただきたい。

穴あきパンツを履いて点滴を装着すると

「(入院する)お部屋へご案内します。2人部屋ですね」
「あ、個室を希望したんですけど」
「すみません個室はいっぱいで…」

25年以上ぶりの入院なので個室料を奮発してのんびりしようと思ったのに。希望が叶わないことはあると書面にはあったけど事前にその旨連絡はないんだな、それによっちゃあ支度が違うんだけどな、まあそうなもんかな、でもそういうとこやぞ、と思いながら同室はどんな人だろうと様子をうかがう。

80がらみのじいさんは、ちょっとしたことでナースコールを押しては「自分でできることはがんばってくださーい」とあしらわれている。

面会に来ていた息子さんにも家のあそこをああいといてくれ、こうしといてくれと注文が多いのでだいぶ面倒くさがられていたが、人がいない時はとても静かだ、良かった。

そういえば入院前に受け取った紙の中にこんなのがあった。

つまり病室の中では原則的にマスク不要。実際、自分も同室のじいさんも病室内でマスクはしていない。さらに

マスクできない人にご理解を、という文言まである。じゃあさ…病院の入口に見張りみたいな人が立ってて「マスクをしてください」って言う(それでもめてるおじさんがいた)のと矛盾しないか?マスクってそんなにすごいの?てかそもそもコロナってそんな「恐怖の感染症」だっけ?

なんて思いながら再検査の時を待った。順番は「日帰りの人優先」なので、自分が最後だそうだ。

記憶にございません

実はこのあと、検査中のことは当然として部屋に呼ばれてから検査が始まるまでとか、検査後にどうやって過ごしていたか、(酒なしで)寝るまで何をしていたか、まったく覚えていない。

記憶があるのは翌朝の診察で「2cm以上のポリープを6個取った」「小さいのはまだある」「それは来年取りましょう。来年も検査です」と言われたこと。

それと、病室へ戻って食べた「誰もがまずいと言う」病院食がじゅうぶん美味しく感じたということである。量も塩分も少ないが、約36時間ぶりの食事だもん、食べれるだけでシアワセでした。

心と体にいいこと、わるいこと

改めて振り返ってみると、1回目の検査と2回目の検査、どの場面がどっちのだったかよくわからなくなってきた。

例によって「血行が良くなるからきょうお酒はダメです」と言われたし、いきなり本格的に食うのも良くないことはわかっている。だけど、病院出た後はどうだったっかなあ?覚えてないなあ(≧▽≦)

数年前におふくろのガンが再発してから亡くなるまでの日々をおふくろにどう過ごさせてあげられたか、それについての後悔が大きすぎて、自分の、ガンを含む病気の捉え方は変わった気がする。

「便潜血が陽性」⇒「大腸にポリープがある可能性」⇒「大きいものはガンになる『可能性が上がる』」⇒「検査」⇒「たくさんあった。大きいのは取る」⇒「残りは来年取る」…この流れの中で自分に「変えられること」はあるんだろうか?変えたらどうなるんだろうか。

よくわからない。大腸内視鏡検査を何とも思わなくなったことは今後をフラットに考える足しにはなるかも知れない。

これにてこのシリーズの「おしり」。