ちょっと前のことですが「慶應義塾大学の研究グループによると、飲酒後に顔が赤くなりやすい遺伝子を持っている人は、骨粗しょう症による大腿骨近位部骨折をする確率がそうでない人の2.48倍も高い」というニュースを見ました。
わたしたちが体内でアルコールを分解する時にはアセトアルデヒドという物質ができます。これがあの二日酔いの原因です(地獄!)。しかもこのアセトアルデヒドが体内に貯まると骨のもとになる骨芽細胞の成長を妨げるため、骨粗しょう症になりやすくなるというのです。
日本人の半数近く
人間はこのアセトアルデヒドを代謝する酵素を持っていますが、なぜかわたしたち黄色人種の中にはこの酵素が「普通の人の1/16しか働かない人」や「まったく働かない人」がいます。これが「お酒に弱い人」「一滴も飲めない(飲んではいけない)人」で、飲むと顔が赤くなります。これは遺伝です。
日本人のうち40%は「普通の人の1/16しか働かない人」で、「まったく働かない人」も4%います。それに対してヨーロッパ系の白人やアフリカ系の黒人でこのような遺伝子を持っている人はなんと0%。つまり「全員強い」のです!飲んべえめ!
飲まなきゃいいじゃん説
ふつう、お酒が苦手な人は進んでお酒を飲みません。「じゃあ心配ないじゃん」となればいいのですが、実はそうもいきません。
ふだんの食事に含まれている少量のアルコールを分解する過程でもアセトアルデヒドは発生するため、アセトアルデヒドを代謝できない人は知らず知らずのうちにアセトアルデヒドをため込んでしまい、骨折のリスクを高めている可能性があるそうです。
大腿骨近位部骨折って?
ご存知のとおり「大腿骨」は「ふとももの骨」のこと。さらに「近位部」は「足の付け根の方」です。ここを骨折してしまうと、治るまでの期間が長くて気持ちが落ち込んでしまいますし、筋力や体の機能も低下します。
お年寄りなどは立って歩けるまで快復しないこともあり、これが結果的に「寝たきり」⇒「認知症」を招くケースがあります。そういえば亡くなったわたしのおばあちゃんも、足の骨折が原因で寝たきりになって、そのあと認知症になったんだったなあ…。
ビタミンEがEらしい
骨折は怖いものです。でも「酒を飲まなくてもアセトアルデヒドがたまってしまう」のでは対策の立てようがないのでしょうか?
いいえ、朗報があります。慶応大学の実験では「アセトアルデヒドによって弱くなった骨芽細胞に“ビタミンE”を加えたところ、その機能が回復した」のです。
ビタミンEを多く含む食品と言えばひまわり油、アーモンド。カロリーが気になるなら緑茶があります。今ならサプリもたくさん売っていますね。
「ほどほど」が大事
最近は「お酒を飲んではいけない体質の人」の認知が少しずつ進んできましたが、昭和の酒場には「飲めば強くなる」「オレの酒が飲めねえのか」みたいな人がたくさんいました。たまーに今でもそんな感じでオラついてるおじさんがいますけど、飲みたくないもの・飲めないものは飲まなくていいんです!
飲む側の立場としては「飲み方・酔い方」にも気をつけたいところです。人気アイドルさんが相次いで起こしたお酒に関する不祥事もそうですが、酒の強さうんぬんより「自分を失わない・周りに迷惑をかけない楽しみ方」が大事だなってつくづく思います。
お酒は強いけど酔っぱらってコケて骨折した知り合いもいますから…。お酒大好きな筆者も「ほどほどの飲み方」は常に肝に銘じておきます。結局は飲み方の話になっちゃいました(^-^;