シリーズでご紹介していく「避難ルートを実際に歩いてみました」。今回は熱海市渚町付近。このシリーズの初回でご紹介した「熱海サンビーチ」のある東海岸町のひとつ南のブロックです。このエリアでの避難について考えてみました。
上の図でわかるように、「レベル2(=あらゆる可能性を考慮した巨大地震・津波)」の場合、このエリアの海岸沿いでは津波の浸水深が5.0m~10.0mと想定されています。
さらに参考までに「熱海ネット新聞」2015年1月30日の記事を抜粋すると
「相模トラフで巨大地震が発生した場合の被害想定は初島を除く熱海市で14メートル、津波の到達時間は熱海市は最短3分。わずか4分で最大級の津波が襲うと想定」
となっているため、やはり避難時の目標としては「3分以内に標高20メートル」とか「上の図で色がついていない部分」までは逃げたいところです。
現実はなかなか厳しい?
というわけで例によって防災アプリ「高台サーチ」を使って「標高20メートル」以上の高台を探してみました。
その結果表示されたのがこちら。現地をご存知の方ならわかると思うのですが「けっこう遠い」です。坂が急な熱海でもここまで登らないと標高20mを確保できないのは意外です。
「サンビーチ編」でも触れたように熱海市は「海を背にしてとにかく登っていく」のが高台に到達するためのシンプルな方法。
でも「速く高台へ行ける」=「坂がキツイ」ですから、海岸からこの地点までアプリが表示している「走って2分17秒」で行くのは難しいと思います。
「津波避難ビル」をさがせ
そうなると頼りにしたいのが当シリーズの「沼津・狩野川河口付近」編でご紹介した「津波避難ビル」の存在。
・耐震性
・一定以上の面積・高さ
・スムーズな出入りができること
・原則24時間避難が可能なこと
という条件をクリアしたビルです。熱海の海岸沿いには高さのあるマンションやホテルが多いですが、「熱海サンビーチ編」の時点では「そこに避難できるかどうか」について検証していなかったので、今回は「津波避難ビル」のマークを探してみました。
国道135号線沿いで見つけたこちらは新しいマンションの脇。マークの右にある外階段にいつでも登れるということでしょう。ここなら波打ち際からでも駆け足で1分半ぐらいです。
このエリアは国道135号線が上り下りの2本に分かれていて、海岸の道からもう1本陸側の道も国道135号線になります。熱海銀座へ登っていく交差点にある熱海商工会議所には「避難階段入口」という案内がありました。
矢印に従って進むと…
こちらには「津波避難ビル」のマークがあり、その奥にらせん状の外階段がありました。ここを登っていけばいいわけですね。
ただし階段を登れる人数には限りがありますので、足さえ健康であれば熱海銀座通りなどの「山側へ向かう坂道」をひたすら上がっていった方がいいのかも知れません。どちらを選ぶかは難しいですが…。
念には念で、坂の上の最初の通りも渡ってもうちょっと先まで。できればもっともっと登っておくに越したことはありません。
熱海は魅力的なスポットばかり
東海岸町にしても渚町にしてもステキな町名ですね。ひと昔まえはとても想像することができなかったほど人気が回復して平日でも観光客でごった返す熱海は海と坂、古い路地、そして温泉が魅力です。ぜひ避難ルートを知ったうえで存分に楽しんでください!