「香害(こうがい)」という言葉をご存知ですか?

良い香りはそれだけでリラックス効果がありますが、人によっては不快に感じることもあります。アロマテラピーなど芳香療法というものもありますが、一方で香りによる健康被害を訴える人が増えています。いわゆる香害が社会問題になりつつあります。

「香害」とは

香害(こうがい)は、香水・香りつき洗濯洗剤・柔軟剤などの香料に含まれる香り成分に起因し、不快感を感じたり、頭痛やアレルギーなどの症状が誘発され、健康に害を受けることである。

引用元:香害(出典:Wikipedia)

香害の症状は多岐に渡ります。

・頭痛
・吐き気
・動悸
・めまい
・体のだるさ
・目がチカチカする
・鼻水が止まらない
・咳が止まらない
・皮膚のかゆみ

人によっては、これ以外の症状も出る場合があります。

私の妻は、結婚当初アパートでの生活を始めたことをキッカケに、それまで使ったことのなかった芳香剤や柔軟剤を使いはじめ、顔がただれて目が開かないほど腫れあがってしまいました。

当時はシックハウス症候群という言葉が知られていたため、築2年のアパートの建材から発生する化学物質に反応していると思いました。今思えば香害によるものだったのかもしれません。

5年経って症状が落ち着いていましたが、最近になってドラッグストアで買い物をした際に柔軟剤の香りに反応し、また症状が少しぶり返しているようです。

なぜ香りが害になるのか

なぜこんなにも香りが害になるのでしょうか?
それは香り成分に使われている合成香料に化学物質が含まれているからです。

合成香料の種類は3000を超えると言われています。そのうち世界中で取引されているのは約500種類。大量生産ができ安価で安定した供給が可能です。しかも自然界には存在しない香りを作り出すことが出来るのです。

例えば、香水の種類によっては以下のような成分が使われています。

・エタノール
視力低下、めまい

・ベンズアルデヒド
抗がん剤として使われているが、胃腸、腎臓に障害を引き起こす

・アセトン
神経毒で吐き気や言語障害を引き起こす

・酢酸ベンジン
発ガン性物質

・カンフル
肌から吸収すると、めまい、吐き気、痙攣を引き起こす
口から吸いこむと、てんかんを引き起こす

香りが化学物質過敏症の様々な症状を引き起こす可能性があります。

理解されない「香害」

香りは化学物質であるという世間の認識はあまりにも薄く、香害については理解されないのが現実です。

洗濯物に使われる柔軟剤には、基準となる使用量が表示されています。ところが、約2割の人が香りが足りないと規定量以上の柔軟剤を使用しているようです。香害に実際に悩んでいる人が「香りを控えてほしい」と訴えても、「神経質だ」「気のせいだ」と理解してもらえないことが多いようです。

マンションの隣の洗濯物の柔軟剤の香りで健康被害を起こし、訴訟を起こしたいとまで考える人もいるようです。しかし香りについての法律はなく、今のところ泣き寝入りするしかないというのが現状です。

香りをまとうということは、化学物質をまとい周囲にまき散らしているのと同じと感じる人がいることを、世間が理解する必要があります。

誰にでも起こりうる香料アレルギー

長時間香りにさらされることで、香料アレルギーとなり、化学物質過敏症を発症するリスクも高まります。

これは誰にでも起こりうることです。

花粉症のように突然発症するようです。目に見えないので自覚はないかもしれませんが、柔軟剤のように毎日使用することで確実に体内に化学物質が蓄積されていきます。

特に女性には香りがないと不安という方もいらっしゃるかもしれませんが、香りをまとうということで意図せず、加害者にも被害者にもなりえます。大切な家族も巻き添えにします。

海外ではすでに香水使用禁止条例が制定されている都市もあり、香りの受け止め方が変わってきています。

最近は香りが長く続く高残香性の柔軟剤が人気を呼んでいます。浄水場では3分の1程度までしか化学物質が分解されないそうです。分解されない香り成分は海に流れ出て、海洋生物にまで影響を及ぼします。実際に最近の研究でイルカから合成香料の蓄積汚染が確認されています。

もはや「香害」は地球規模の問題かもしれません。