【復興支援ツアー2016年度】後世に伝えていくということ

前回、東北を訪れたのは2013年。それから約4年がたった今、「震災をどのようにして後世に伝えていくか?」という取り組みに関心がありました。
今回訪問した各地の取り組みをご紹介いたします。

○震災復興伝承館(JR千石線 旧野蒜駅)
震災復興伝承館は、東日本大震災の津波で被災したJR千石線の旧野蒜(のびる)駅舎を改装して2016年10月にオープンしました。
この伝承館の建物の裏には、震災遺構として旧野蒜駅のプラットホームが保存されています。
そして震災復興伝承館の2階に震災時の様子などを収めた写真パネルが展示されており、当時の様子を伝えています。また映像を見るスペースも設けられています。

JR千石線 旧野蒜駅のプラットホーム
震災復興伝承館で係員の説明を受ける参加者

震災復興伝承館

〇大川小学校(宮城県石巻市)
東日本大震災の津波で児童や84人が犠牲になった大川小学校の旧校舎は、震災遺構として保存することになりました。大川小学校の周辺を公園化し、慰霊や鎮魂の場を整備するそうです。

大川小学校の旧校舎

大川小学校跡地

○女川駅前にぎわい拠点(宮城県牡鹿郡女川町)
2015年3月、女川町の新しい玄関「女川駅」ができ、東日本大震災で被害を受けたJR石巻線のうち最後の一区間、浦宿(うらしゅく)~女川間が再開しました。
新しい駅舎は以前より200メートルほど内陸へ移動し、駅前から海に向かって伸びるレンガみち(プロムナード)の両側に公共施設や商業・観光施設が建ち並んでいます。
まだ建設中でしたが、津波被害を伝承するために旧女川交番を震災遺構として保存することになったそうで、周辺は公園(メモリアルゾーン)になる予定です。

女川駅前のプロムナード(奥の建物は女川駅舎)
震災遺構が保存されるメモリアルゾーン

女川駅

○東日本大震災メモリアル 南浜つなぐ館
「がんばろう!石巻」の看板横にあります。
この南浜つなぐ館では、震災前の復元模型やバーチャルリアリティー(VR)技術を利用した、震災1ヶ月後の被災地の状況を360度見渡せる展示をしていました。
また、この地区は公園(復興祈念公園)となる予定で、追悼の広場も整備される予定です。

東日本大震災メモリアル 南浜つなぐ館
石巻南浜津波復興祈念公園

東日本大震災メモリアル南浜つなぐ館

このように各地区で、後世に伝えるために震災遺構という「モノ」で伝承していこうという取り組みが始まっていました。

そして、「人が語り継ぐ」という語り部も後世に伝える取り組みだといえます。
今回、ツアー2日目から同行した語り部ガイドさんは、当時の記憶を呼び起こしながら私たちに語り継いでいただきました。

また、語り部ガイドさんから聞きました「いのちの石碑」は、津波が到達した場所より高い場所に建てて避難の目印にしようというもので、女川中学の生徒たちの震災体験をもとにつくったという俳句が刻まれています。

語り部ガイドさんに教えていただいた女川中学の生徒さんの俳句で印象に残った歌があります。

「夢だけは壊せなかった大震災」

震災を「コトバ」で伝えることも大切な取り組みだと思いました。