日曜日も工事の日

日曜日は工事は休みというのが建設業の常識なのだが、陸前高田の中心市街地付近では、日曜日にも重機の音が響く。

朝一番に道路から見ると、2台の重機で掘削を始めていた。場所は、3月の完成予定目指して複合商業施設の建築が進む、いわばいま一番ホットな現場。厳しい冷え込みで土が固まっているのか、苦労して掘っている感じだったのだが…

9時半頃に高台の本丸公園から見ると、かなり掘削が進んでいる様子。樹木に囲まれた本丸公園に重機の唸りが響いてくる。

おひる時に近くを歩いてみると、掘削どころがすでにマンホールにつないだ管路は設置され、砕石で埋め戻されている!

工事は下水工事だった。すでに設置されているマンホールから、管を延ばして、さらにその先に新たなマンホールを設置するらしい。

昼前に管の設置まで終わらせているということは、もしかしたら… と思って夕方現場を見に行くと、やはり。

すでに終点に当たるマンホールの設置も完了し、薄暗くなる中、重機のライトをつけて埋め戻しと現場の片付けが同時進行で行われていた。

下水道やマンホールの設置作業の手順は、ざっと次のようなものだという。

まず下水道を設置する深さより少し深いところまで掘削する。設計通りの深さまで掘れているかどうか、都度確認する。掘削したら砕石を入れて均した後、さらに砂を入れて均す。この砂は管を保護するためのもので、管の下だけでなく全体を包むようにしなければならない(巻き砂と呼ばれる)。上水道や都市ガスと違い、下水道は重力で自然に流れるように微妙な勾配をつける必要があるので、管を設置する高さ(深さ)はミリ単位の正確さが要求される。設置した後は、砕石で埋め戻しながら管の周りには砂を入れ、決まった厚さから上は通常の土で埋め戻す。

マンホールの設置も同様だ。掘削して、砕石(場合によってはコンクリート)で高さを揃え、砂で正確に高さを調整して、底板と呼ばれる部品から順番に管状の部品を縦に組み上げていく。一番上には一般的にマンホールと呼ばれることの多い鋳造製の鉄蓋を設置するが、蓋の枠は自在に高さを調整できるようになっていて、路面の高さや勾配に合わせて、これまた細かく調整した上で流動性が高くてすぐに固化する特殊なモルタルで固める。

これで終わりではない。マンホールと管をつなぐ作業が残っている。マンホールの側面にあらかじめ穴をあけておいて、そこに管を突っ込むのだが、上にある昼休みの写真で分かるように管はすでに地面の中に固定されているから、このままではつながらない。管の末端からマンホールまでをつなぐ別の管を用意して、まずはマンホールの穴に押し込んで、行って来いさせてマンホールと管をつなぐ。マンホール側の継ぎ目は専用のパッキングやモルタルで固定する。もちろんこの作業でも微妙な高さ調整が不可欠だ。ここまで終わってやっと全体の埋め戻しに掛かれる。

言葉でざっと書き上げるだけでも数十分かかった作業を、この現場ではたった一日で、しかも少人数で片付けてしまったわけだ。

「今朝見たら掘削を始めたところだったけど、今日一日で管を入れてマンホールまで据えたんですか?」

片付けに忙しそうな現場の若手の人に声を掛けると、

「ええ、まあね」

「いやあ、すごいっすね」と本音を言うと、

「えへへ、そうすかね」

現場の人の表情と言葉はちょっと誇らしげに見えた。「日曜日なのに、ホントにごくろうさまです」

作業員なのか監督なのか、その若い男性は、どちらかというと凄みの効いた系の顔をほころばせて会釈して、片付け作業に戻っていった。

陸前高田の中心市街地の第一期工事は、3月の完了予定。春には新しい市街地がプレオープンする。その日に向け、今日も工事が続いている。