陸前高田大石祭り組の虎舞、今年は1月15日に開催されることに決まった。元々虎舞が行われていた小正月の開催は久しぶりのこと。
震災後に建て替えられた公民館に笛の音が響く。太鼓が床を振るわすと同時に、虎が躍動する。この日は虎舞の稽古だ。
震災後にこれまで参加させてもらった虎舞は、いつも当日勝負。練習などなく、「虎の中に入って2、3回踊れば覚えるから」という感じだったから、へえ今年は事前に練習をするんだとちょっと驚いた。実際には2、3回踊って覚えられるようなものではなく、足運びも踊る姿勢もなかなか奥が深い。わたしなど、いまだに足運びすらマスターできていない。
公民館に集まったのは大人たちを中心に6、7人といったところ。例年と同じ顔ぶれだったのだが、打ち合わせをしている間に次々と若い人たちが集まってきた。
小中高校生が続々とは言わないまでも、順番に虎に入って舞いの稽古ができるくらいの人数にはなった。長老が虎の中での姿勢やお頭の持ち方など細かく指導。舞いの足運びは、虎の外でも先輩が見本を見せてくれる。虎をあやす踊りを舞うじゃらかしも同様だ。地域の長老、そして子どもたちにしてみれば父親世代の先輩たちから、虎舞が伝えられていく。
雪降る夜の公民館だったが、4回、5回と舞いの練習をするうちに汗ばんできたほど。
それでも、ぶっつけ本番ではなく、ちゃんと稽古を付けてもらったおかげで、子どもたちの虎舞はめきめき形になっていく。(自分も足運びは何とか思い出せた)
伝えられてこその祭り。世代がつながってこその地域。新しい町の建設が進む陸前高田では、これから地域の再編が進むことになる。この夜の虎舞の稽古は、震災で町の姿が変わってしまってもなお伝えられるものがあることを、そしてその意味の大きさを、目と耳と、ハードな舞いの後の汗とともに教えてくれた。
まちは人と人のつながりでできている。15日の虎舞本番が楽しみだ。