住田町夏祭り7月30日に開催
陸前高田市と大船渡市のお隣の町、岩手県気仙郡住田町。東日本大震災では被災地への支援活動のベースとして多くのボランティアを受け入れた土地。被災地の人々のために地場産業である林業を生かした仮設住宅を提供してきた町。この町の夏祭りが7月30日(土曜日)に開催された。
古い町並みに提灯が吊るされた幻想的な雰囲気の中で行われた道中踊りには、住田町で継続して被災地支援活動を行っているトヨタグループのボランティアも参加。町の人たちと一緒に鮮やかな舞いを披露していた(練習は前日だけだったという話も)。
祭りには江戸時代からの伝統を誇る「五葉山火縄銃鉄砲隊」も登場。気仙川の河原で見事な火縄銃の射撃を披露した。
五葉山火縄銃鉄砲隊の射撃は、敵を撃つものではなく、邪気を払い、人々の幸福と安寧を祈念するものなのだという。筒先から込めるのは人を殺すための弾丸ではなく、誠のこころ。
山あいの町に、時代を越えた幽玄な時が流れた。
盛岡さんさ踊りは8月1日〜4日
盛岡の町を祭り一色に染上げるさんさ踊り。今年も開催は8月1日から4日までの4日間。踊りの美しさ、太鼓やお囃子の音に包まれていると、自然と体が動き出してしまう。
ならいの国の笑顔の祭り、盛岡さんさ踊りへぜひ!
ふるさとの味を年間とおして
三陸海岸沿岸部、おいしいワカメが穫れる場所ではワカメのしゃぶしゃぶは早春の人気料理。熱いだし汁にとれ立ての生ワカメをしゃぶしゃぶっとくぐらせる。茶色いワカメが色鮮やかなエメラルドグリーンに変わった瞬間を逃さずに、つけ汁につけて豪快に頂く。
都会にはワカメという食材を脇役のように思っている人が少なくないかもしれないが、産地の人たちはこの海藻のおいしさをよく知っている。とくに、東北の海辺に生まれ育ち、今は遠い町に行った友達は、その味わいをとても懐かしいものと感じるに違いないだろう。
本来なら生ワカメが穫れる早春から5月初め頃までしか食べられなかったワカメのしゃぶしゃぶが、年間とおして味わうことができるようになった。陸前高田の4人の料理人たちが1年の年月をかけて開発した「陸前高田ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」によって。
陸前高田の「前浜」というべき広田湾は、おいしいホタテとワカメの産地として知られてきた。震災で大きな被害を受けたものの、現在では漁獲も復活してきた。加えて地元企業の努力で、生ワカメを風味を保ったまま冷凍保存する技術が開発されたことで、刺身、炙り焼きなどのホタテと、ワカメしゃぶしゃぶをメインとしたおもてなしグルメが生み出されたのだ。
夏は観光のシーズン。そして帰省と出会いの季節。陸前高田を訪れたら、ぜひ「陸前高田ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」にチャレンジを。お隣のテーブルには、甘いホタテと絶妙なワカメしゃぶしゃぶの味わいに、ふるさとを再認識している人がいるかもしれない。
東北の風の道
「東北の風」と書いて「ならい」と読むことを教えてもらった。ならいとは冬の冷たい強風を意味する古い言葉とのこと。
東日本大震災の津波が遡り、海が見えないくらい内陸の土地にも大きな被害を及ぼした陸前高田市、気仙川の河川敷に2本のケヤキの木が立っている。1本は完全に枯死してしまったが、もう1本は半分枯れながらも、体半分で緑の葉を茂らせている。このケヤキの木に「ならいの道」を教わった。
たとえどんなに冷たい風にさらされても、たとえ友を失ってしまっても、体を削られるほどの苦しみを受けても、よみがえろうと生の力をたぎらせる。そんな東北の風(ならい)に立ち向かう人たちのことを、一歩ずつ、少しずつでも理解していきたい。