日本原子力発電東海第二原発で汚染水漏れ

茨城新聞はタンクベント処理装置室の配管から漏れた汚染水が、床を貫通する配管の隙間から下の階に落ちた可能性にも言及した。

「環境への放射能の影響はない」という原電発表に加え「作業員の被曝がない」ことも各紙が伝えている。日経は「原子力規制委員会の検査官が建屋外への流出がないことを確認」と詳細を示した。

それでも分からないこと

原子力発電所で事故等が発生した際には、現場の状況を知る手段が事業者による発表に限られてしまうケースが多い。それだけに、事業者の発表をそのまま伝えるのではなく、踏み込んだ質問で状況を具体的に明らかにしていく必要がある。今回の報道に携わっている人たちの努力は高く評価できる。しかし——

作業者に被爆がないことはどのように確認したのか。漏れた水は堰の内側にとどまっているとの発表だが、上の階、下の階とも堰が設置されていて、運良く上の階から漏れた水が下の階の堰の中に溜まったということなのか。上の階で基準値の40倍(日経では100倍)の汚染水が下の階では基準値未満(東京新聞による)だとすると、下の階で汚染が薄まったのはなぜなのか。読売新聞と茨城新聞が言及している約8平方メートルに約10センチの溜まり水の量は、各社が伝える750リットルという漏洩量にほぼ合致する。750リットルは上の階の溜まり水の量を指すのか。堰の内部が約8平方メートルだとすると、縦横3メートルに満たない広さということになるが、そこに設置された気体から液体を分離する装置から0.75トンもの汚染水が漏洩するとは、いったいどのような事象だったのか。

事業者の発表だけでは分からないことが多い。各紙を読み比べて初めて見えてくることもある。しかし、それでも疑問が残る。そもそも5年間運転停止している原子力発電所で、突然汚染水漏れが発生するということ自体、尋常ではない。

新聞には紙面の制約がある。テレビのニュースも時間という制約がある。だったら質疑応答も含めた記者会見の様子を動画配信するなど、より踏み込んだ情報公開を実現してもらわなければならない。

原電ホームページにある参考ページ