毎週公開されているデータながら、福島第一原発構内で最も海に近いエリアの地下水の汚染度がひどい。定期的に公開され続けることで、高濃度の汚染に対する感覚が麻痺してはならないと思う。
たとえば、1,2号機取水口間の「No.1-13」(深さ16メートル)の全ベータは1リットル当たり63万ベクレルというとてつもない数値を示している。海側に10数メートル離れた「No.1-16」(深さ5メートル)では18万ベクレル。その隣、距離として10メートルほどしか離れていない「No.1-14」(深さ19メートル)はこのところ全ベータやストロンチウム-90の濃度が上昇傾向にあるが、その数値は6万5000ベクレル。この数値自体も驚くべきものだが、No.1-13に比べると約10分の1だ。
汚染度の高さを注視すべきなのはもちろんだが、ごく近い観測孔からサンプリングされた地下水の濃度に大きなばらつきがあることの重要なポイントだ。
「なぜ高いのか」あるいは「なぜ低いのか」という理由が明らかでない以上、もしかしたらさらに汚染度が高い地下水が、観測孔以外の場所に存在する可能性を否定出来ないからだ。
鋼管矢板による海側遮水壁の閉合と、サブドレン・地下水ドレンの運用を始めた2015年秋以降も、タービン建屋東側の海に近いエリアの地下水汚染は減少する気配がない。
さらに、凍土式の陸側遮水壁の運用開始が始まれば、最も海に近いこのエリアに存在する高濃度に汚染された地下水がどのように動くのか、予測できないというのが本当のところだろう。
現在のところ、東京電力が測定している港湾内の海水のデータは、観測孔から採取される地下水のサンプルと異なり、かなり低い値を示している。
海側遮水壁の閉合によって、海水の汚染度が急速に改善していることは資料から読み取れるが、陸地側の地下水が高濃度に汚染されていることは変わりない。
高濃度に汚染された地下水がどのような挙動を示すのか、海洋に流出する危険はないのか、これからも見つめていく必要がある。