両者譲らず延長50回。決着までに4日間もかかった!

高校野球には硬球を使用する硬式野球と軟球を使用する軟式野球があります。
高校野球=硬式野球というイメージも強く、軟式野球は甲子園を狙う硬式野球と違ってあまり話題になることがありません。
全国大会の決勝戦でもスポーツ新聞で1面を飾ることはまずありません。

スポーツ新聞の1面を飾るできごとが!

同点の場合延長戦を行いますが硬式野球と軟式野球とでは少しルールが違います。硬式野球では延長は15回までという決まりがあり、勝負がつかなかった場合は引き分け再試合になります。軟式野球の場合、1日に行う試合は延長含めて15回まで。勝負がつかない場合は再試合ではなく、翌日に延長の続きを行うことになっています。(※決勝戦を除く)

そして2014年8月28日、第59回全国高校軟式野球大会の準決勝はスポーツ新聞の1面を飾るようなできごとが起きました。
8月28日にいつものようにごくごく普通に始まったこの試合の勝負がついたのはなんと4日後の8月31日。野球史上最長のこの試合は延長50回、4日間もかけてようやく決着がつきました。

甲子園でも1人のピッチャーが連戦連投することがありますが、その連戦連投とは大きく違う点が1つありました。
それは『延長戦』ということです。つまり1点も取られてはいけないという緊迫した状況がずっと続いていたということなんです。

この試合の驚くべきところは49イニングもの間、両チームとも相手に1点も与えなかったこと。そして中京の松井、崇徳の石岡両投手は50イニングを1人で投げ切ったことです。4日間で投げた球数は崇徳の石岡投手は689球、中京の松井投手は709球にもなりました。

しかもこの両投手は前日もマウンドにあがり、中京の松井投手は能代(北東北)を相手に、崇徳の石岡投手は文徳(南部九州)を相手に完封しています。

驚くことだらけですが極めつけは見事決勝進出を決めた中京高校、この試合のすぐ後に休む間もなくダブルヘッダーで決勝戦を行っているんです。

さすがに決勝戦も先発というわけにはいきませんでしたが、中京の松井投手、決勝戦も4回の途中からマウンドにあがりました。5回2/3を投げて無失点。中京は2年ぶり7回目の優勝を果たしています。

ここまで続ける必要はあったのか?

壮絶な試合で感動的な試合でした。2チームとも、チーム事情から1人のピッチャーが投げ切りました。しかしわたしはこの試合、手放しで喜べない何かを感じました。それは、果たしてここまで続ける必要があったのかということです。

両投手を含めて、選手たちはやるしかない場面で戦っただけです。よくやったとしか言いようがないのですが、選手の健康面、将来を考えると大きな課題が浮き彫りになった試合になった気がします。

■高校野球
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