曇天の晩秋の朝、「いや~もう冬だね」とウチの子が自転車で出掛けて行った後、休日仕事の資料探しで大昔の写真を見ていたら、まあなんと!
キノコの女王、なめこだ〜
そういえば、と思い出した。子どもがようやく背負子なしで山歩きが出来るようなったばかり頃だった。しかし写真が悪い。本当は左奥の方、倒木に沿ってなめこはずうっと密生していたはずなのに。
※ 天然のなめこはスーパーで売ってるようなものの5000倍以上うまい。舞茸、松茸に匹敵する至上の秋の味覚だ。
山の仲間と行った奥鬼怒温泉。数日前の雨で登山道の一部が壊れたということで、子連れの自分たちは、途中まで登ったところで撤退して麓の温泉宿でお留守番。温泉もいいけど(温泉の小さな滝みたいなのがあったり、細い階段を登った上にお釜のような小さなお風呂があったりで、浅草花屋敷にも似た雰囲気の漂う露天風呂ですんごく楽しかった。浮き輪まであるプールみたいな大きな湯船もあったりしてね)、とはいえ朝から昼過ぎまで何度も何度も入ってさすがに飽きて、あたりをふらふら歩いて回っていた時に見つけたのがこのなめこ。見事だった。
そういえば、きのこと言えば今年は東北にきのこ狩りに行ったけれど、民宿のおじさん曰く、「今日はダメだんべ。一昨日か、でなければ来週だったらよがったのにな」。前日にすんごい雨が降ったから、山のきのこはぐっちゃぐちゃ。それに、きのこと言っても一概に、秋のある一時期に揃って出るものではない。
それでも今年だって雑木林をかき分けて、りっぱなイグチタケを数本と、草原に生えてたホコリタケが採れた。ホコリタケは踏んづけると「ぶほっ」と埃のような胞子を噴き出すきのこで、ぱっと見はとても食べられそうにもないのだが、「剥いてみて、黒くなってなければ食べられるよ」と山の先達は教えてくれた。なんだか手塚先生の「ヒョウタンツギ」みたいな形で、え~って感じなのだが、きのこ汁にしたら美味しかった。
さてそれはそうと、なめこの写真。日付のデータを見てみたら、驚いたことに10月上旬ではないか。これはしたり!って感じ。10月上旬といえば、ナラタケ、クリタケ、スギハリタケの時期だと思い込んでいた。今シーズン最後の沢登りだねえなんて言いながら、釣り師はイワナ、釣り下手なのはきのこ探しという役割分担で沢歩きしてるような時期だ。一方なめこは秋も晩秋、ちょうどこれからと思っていたのだが。
たしかに同じフォルダの写真を見ると、紅葉はまだ先触れって感じだもんな。
きのこ狩りの師匠(西東京市在住)が言ってた話を思い出す。「きのこの時期は難しいんですよ。年によっても違うし、場所によっても違う。ずっと山で暮らしていたらいいんだけどね」
東北の民宿のおじさんの言葉も思い出される。「今年はだめだあ、売るほどには採れねっがら」
平地の町の紅葉はまだ先だけど、山の方はもう紅葉まっさかり。きのこも場所によっては今シーズンのラストチャンス。成長した子どもと一緒に近場の山にでもちょっくら行ってくっぺしか。
だけど紅葉ばかり見上げていたら足下のきのこは見逃すし、きのこばかり探して歩いていると紅葉に気づかなかったりと、それはそれで悩ましくもあるのですけどね。