今月11日、富士山が噴火した際の避難ルートマップが公表されました。これまで火山災害の影響範囲などを示したハザードマップはあったものの、避難経路を記載したものは富士山では初めてとのことです。今日は公表された富士山噴火時避難ルートマップ(※以降、避難ルートマップと記載」)と、噴火の際の避難について考えたいと思います。
避難ルートマップを見てみよう!
今回、避難ルートマップを公表したのは富士山北側に位置する山梨県です。マップは過去に発生した4パターンの代表的な噴火で想定される「火砕流や噴石などの影響範囲」と「避難すべき経路及び方向」を示しています。
避難ルートマップの利用方法と問題点について考える
避難ルートマップの活用方法として、観光や登山で富士山を訪れる際、事前に確認した上で印刷して持って行き、有事の際にマップを元に行動することが考えられます。
しかし、それだけでは不十分であり課題もあります。
実際に富士山が噴火した時のことを考えてみます。まず最初に火口の位置を把握し、4つあるパターンのどれに該当するか判断する必要があります。
しかし、想定外のケースが発生する可能性がある上に、山容にあまり変化がない円錐形の富士山で正しくどのパターンに当てはまるか判断できるか不安が残ります。他にも雲がかかっていたり、夜間の水蒸気爆発などで噴火位置がわからない場合もあるかもしれません。
噴火地点を確認すると同時に自分がいる位置を把握する必要があります。場所によって避難すべき経路と方向が変わってくるからです。例えば富士スバルラインで車を運転している際に避難ルートマップの「避難パターン1」のケースで噴火が発生した場合、居場所によって避難すべき方向が変わってきます。
誰でも避難できる方法を検討する必要性
個人で状況を把握して判断するのは難しいので、行政などが噴火情報や避難する経路及び方向を伝える方法も検討した方がいいと思います。
例えば、登山者向けにGPSを活用した避難誘導スマホアプリを開発したり、避難ルートマップを持っていない人には登山口で配布し、噴火した際には緊急速報メールで避難パターンを知らせる(※この場合自分の位置を把握しておく必要はあります)などがあると思います。
富士スバルラインを利用するドライバー向けには、道路脇に避難方向を指示する電光掲示板を設置するのもいいかもしれません。いずれにせよ、混乱した状況で誰もが適切なルートで避難できるようにする必要があると思います。
避難時の問題点について
避難する際の課題もいろいろあると思います。
例えば富士スバルラインを利用している際に噴火が発生した場合、避難する手段は徒歩がいいのか自動車いいのかといったことがあります。
避難スピード、小さな噴石からの保護などを考えると当然、車がいいと思いますが、数ミリ積もっただけでスリップするという火山灰が降った場合には、使用できない恐れがあります。
また、避難すべき方向と反対の車線にいる車はどうするのか。片側1車線でUターンをしようとすると渋滞や事故が発生する危険性が高くなります。避難すべき方向の車線にいる自動車に乗せてもらうなども検討しておく必要があるかと思います。
有益な情報を活かして
今回公表された富士山噴火時避難ルートマップは、避難時の行動が具体的に書かれており有用だと思います。しかし、大切なのは緊急時にその情報を活かして迅速且つ的確に避難することができる方法や準備をしておくことだと思います。
今回は山梨県のみの公表でしたが、現在富士山の南側に位置する静岡県でも同様の避難ルートマップが作成されており、今年度中に公表される予定だそうです。
富士山及びその周辺で観光や登山をされる方は、従来のハザードマップに加え、避難ルートマップも確認&印刷して持っていくといいかもしれません。
富士山
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji