絶滅危惧の植物が自生する「浮島ヶ原自然公園」

浮島ヶ原自然公園内に咲いていたシモツケ

絶え間なくたくさんの自動車が走る静岡県富士市の国道1号線。その道路脇の一画に湿地帯が広がっています。浮島ヶ原自然公園です。

これまで幾度となく1号線を通ったことがあったものの、恥ずかしながら自然公園の存在ついては気づきませんでした。

同園のことを知ったのはつい先日のこと。園内に自生するサワトラノオの花が見ごろを迎えており、今月いっぱい咲いていると新聞記事で目にしました。

サワトラノオは原野や川岸の湿地に生えるサクラソウ科の多年草です。茎の先に10cm前後の穂状の花をつけるのでトラノオ(虎の尾)の名がつけられたそうです。

絶滅危惧種(環境省:絶滅危惧ⅠB類)に指定されている希少な植物で、国内で自生している場所は数か所しかないそうです。浮島ヶ原には少なくとも2千株のサワトラノオが自生しているとされ、全国一の群生地と言われています。

浮島ヶ原自然公園のWEBサイトによると、平年の開花時期は5月中旬~6月上旬と記載されていたこともあり、先日5月23日に行ってきました♪

浮島ヶ原自然公園について

浮島ヶ原自然公園は静岡県富士市中里にあります。現在、同公園の付近には国道のほか、畑や田んぼ、住宅、商業施設などがあります。

しかし、明治初期まで愛鷹山南麓、富士市から沼津市にまたがる東西約14km、南北 2kmの一帯は、浮島沼と総称された大小の沼が点在する低湿地帯だったそうです。富士山と織りなす景色は風光明媚で、歌川広重をはじめ多くの浮世絵などに描かれています。

ちなみに沼津市に「原」という地区があるのですが、この名称は浮島ヶ原に由来しているとのことです。

国道1号線沿いにあり、開発に伴う埋め立ても進んでいたことから、 植物保護などのために自然公園が設置されたそうです。

見ごろは過ぎていたけれど・・・

肝心のサワトラノオですが、今年の見ごろは早かったようで訪れた時は先端に少し花が咲いている状態でした。自然公園の方の話によると、ここ数年、見ごろはゴールデンウイークからその翌週にかけてくらいとのことでした。

サワトラノオの花

満開のサワトラノオを見ることはできませんでしたが、その代わりに園内の自然を楽しむことができました♪

自然公園の敷地は南北約150m、東西約250mと決して大きくはありませんが、かつて広がっていた沼地を想像させる湿地帯の一部が残っており、自然を壊さないように造られた木道を歩いて見て周ることができます。

湿地帯は動植物の貴重な棲み家になっています。木道を歩いているとひなたぼっこでもしていたのか、大きなアオダイショウがいました。

また、サワトラノオの他にも「ノウルシ」、 「ナヨナヨワスレナグサ」などの希少な植物も自生しています。

浮島ヶ原自然公園はゆっくり隈なく見て歩いても20、30分ほど。園内にはベンチやテーブルがあってくつろぐことができます。土日及び祝日にはガイドによる公園の案内も行っているそうです。

日本の大動脈のひとつ、国道1号線の脇にひっそり?とある浮島ヶ原自然公園。近くを通られた際に寄られてみてはいかがでしょうか?車の運転に疲れたときの休憩地としてもいいと思いますよ♪

浮島ヶ原自然公園

参考WEBサイト

Text & Photo:sKenji