謝罪会見から順を追って見えること
3月13日の最初の謝罪会見から、少しずつ発言内容に変化が出てきた東洋ゴム。株主総会も直前であり、気になる事があるため、整理をします。
私の気になることは大きくわけて2点です。
(1)本当に担当者一人の不正行為だったのか。
(2)2014年から2015年にかけて、会長、社長、その他取締役や事業本部長、副本部長クラスの人事異動は、何のためか。
<13日の会見での要旨と経緯>
・不正は10年以上一人で業務を担当していた担当者(課長代理)が係数を調整して性能データを改ざんしていたもの(専門的な知識が必要だったため、他の者に引き継げなかった)。
・2014年2月、人事異動による後任担当者が、データを疑問視して検証開始、社内での報告。
・2015年2月、不正を行っていた可能性が強まったことを国土交通省に報告。
・2015年3月、不正を確信して公表、謝罪会見。
・2014年2月の不正の疑いの報告から、1年間も国土交通省への報告が1年かかったことについては、「調査はしていたが、遅いと言われても仕方がない」との社長の弁。
<18日の会見>
・2014年2月の時点では、子会社の東洋ゴム加工品での検証開始と報告で、親会社の東洋ゴムは報告を受けていない。
・2014年5月~6月頃に東洋ゴム加工品から東洋ゴムへ「不適合の疑いがある」と報告。東洋ゴムも調査に乗り出す。
・2014年7月部下から経営陣に「国の性能基準を満たしている」とする報告。納入は継続。
・その後の調査で基準を満たしていないことが判明。納入停止。国交省へ報告。
<国交省の立ち入り調査で発覚したこと(調査は17日)>
・後任担当者は、2013年1月に課長代理と交代していて、前任者と同様の手法で性能テストの計算に使う係数を操作して基準値に収まるようにしていた。不正と知っていたか否かはまでは「?」
(1)の疑問点ですが、後任者がデータを改ざんしていたことは立ち入り調査で明らかになりました。故意かどうか、不正の認識があったかどうかまでの詳細が明かされていないため、関わっていた担当者は少なくとも二人いたということで報道されています。
会社側の発表との矛盾点です。
ただ、最初の担当者は課長代理です。申し訳ないですが、そのポジションで、しかも単独でこれだけの大胆なことをやるとは思えないのです。後任者にしてもです。事業の命運を自分たちだけで背負うのは、間尺に合いません。
理研の小保方さんは「クロ」と判定されていますが、彼女とは背負ってるモノと立場が違います。彼(ら)の単独行為とすると、職責と代償とがあまりにもアンバランスなのです。
やっぱり、何かかくれているのではと思えてしまうのです。
(2)の疑問点の根拠は、人事異動の資料からくるものです。
※ダイバーテック事業本部が免震ゴムの事業部門です。
※無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司はダイバーテック事業部の中国の関連会社
※董事長は日本でいう取締役(取締役会の議長)
<2014年から2015年にかけての幹部職人事>
[2014年7月1日付]
・山本取締役常務執行役員→山本代表取締役専務執行役員
[2014年11月1日付]
・信木代表取締役社長→代表取締役会長(健康上の理由)
・山本代表取締役専務執行役員→代表取締役社長
・A取締役常務執行役員→代表取締役専務執行役員
・D執行役員経営企画本部長→執行役員ダイバーテック副事業本部長
[2015年1月1日付]
・B取締役執行役員ダイバーテック事業本部長、
無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司 董事長
→ 無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司 董事長
・D執行役員ダイバーテック副事業本部長
→ 常務執行役員ダイバーテック事業本部長、加工品ビジネスユニット長
[2015年3月27日付(予定)]
・B無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司 董事長→退任
今わかっている不正事件の経緯と絡めて考えると、
2013年1月 子会社で不正を行っていた担当交代。後任も引き続き同様作業。
2014年2月 子会社で疑惑発生、検証開始、子会社内で報告。
2014年5-6月 子会社から親会社へ「不正疑惑」報告。親会社も調査開始。
2014年7月 山本取締役常務執行役員が代表取締役専務執行役員に。
部下から「問題なし」の報告。
2014年11月 信木代表取締役社長→代表取締役会長(健康上の理由)
山本代表取締役専務執行役員→代表取締役社長
A取締役常務執行役員→代表取締役専務執行役員
D執行役員経営企画本部長→執行役員ダイバーテック事業本部
副事業本部長
2015年1月 B取締役執行役員ダイバーテック事業本部長、
無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司 董事長
→ 無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司 董事長
D執行役員ダイバーテック部副事業本部長
→ 常務執行役員ダイバーテック事業本部長、加工品ビジネスユニット長
2015年2月 不適合判明、国土交通省に報告。
2015年3月13日 謝罪会見
2015年3月27日予定 B無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司 董事長→退任
免震ゴムの性能データ改ざん、不正認定取得、不適合品の出荷を続けている間に、経営人のTOP3が異動し、代表権を持つ取締役が1名増え、ダイバーテック事業本部長の取締役の後任となるD執行役員が準備され、ダイバーテック事業本部長だったB取締役は事業部を外れて中国工場に専任。
そして、今回の来る3月27日の株主総会では、8名いる取締役のうち、B取締役だけが退任、D本部長が後任の取締役候補となっています。さらに、B取締役は中国工場の董事長も退任となります。
なんかB取締役に責任を取らせながら、次の体制の準備をしているように見えてしまうのは、私の想像力が豊かすぎるのでしょうか?
今回の事件では、ダイバーテック事業本部長であったB取締役が辞任するのも分かります。仮に本人が関与していなくても、事業本部の最高責任者の取締役ですから。
それでも疑問を感じてしまうのは、B取締役の後任となるD執行役員は畑違いの経営企画本部長で、11月にダイバーテックの副本部長、2ヶ月後の1月に、B取締役の後任として本部長となり、今回の株主総会で取締役となる予定です。
バタバタと引き継ぎの人事に見えますが、「問題なし」が「不正確定」に変わったのは、2015年2月だと会見で言っているのです。
準備が早すぎませんか、モロモロの。と思ってしまうわけです。
ですからまだ何か出てきそうな・・・
と書いてるうちに、また出てきてしまったようです、本日15時前に。
報告していた以外にも、「まだ不適合品があった」と自社のホームページでもリリースしています。
24日に国交省に『自主的に報告しました」と。
そこ強調されても・・・