復興5年目の春を前に、住みたい・働きたいまちを目指して

震災から4年。ニュースでも被災地の事を取り上げられることもほとんどなくなり、東北の現状が見えにくい今、改めて被災地のこれからについて考えてみました。

津波被害や原発、経済的な要因などで帰る事のできない人が多い中、どうしたら被災前と同じ、それ以上に人の集まる活気あるまちになるのか自分なりに考えてみました。

単純に人を集めるというと、各種イベントやお祭りなんてものをどうしても想像してしまいます。もちろん“今”を知ってもらうためにも多くの人を集めるということは非常に大切なことです。
しかしイベントなどで一時的に人がたくさん集まったとしても、それだけで終わってしまったら後に残るものは少ないと言わざるをえないのではないでしょうか。
本当に大切なのは“毎日そこにいる”こと、そこに住み続けたい・その地で働きたいと思えるな場所をつくることなのではないのかと思いました。

被災後に“起業のまち”へ変貌を遂げたニューオリンズ

東北のこれからの復興を考える上で、“起業のまち”ニューオリンズについて簡単ではありますが紹介したいと思います。

2005年8月末にアメリカ合衆国南東部を襲ったハリケーン・カトリーナ。
死者行方不明者2,500名以上、被害総額100億ドル~250億ドルと、全米史上最悪の自然災害。
このカトリーナにより大きな被害をこうむったルイジアナ州ニューオリンズ。

まず気になるのは、なぜ「起業のまち」と呼ばれるようになったのか、その具体的な取り組みです。
実はこの取り組みを簡単に言ってしまうと“地元産業と学生がタッグを組んだビジネスコンテスト”なのですが、ここで注目すべきはそこに企業や自治体などが積極的に関与し、融資対象になりにくい起業家の資金調達のサポートや、ビジネスコンサルティングの提供など起業への“支援を続けたこと”だったのではないでしょうか。
自ら立ち上がろうとしている人を支援する。すなわち義援金ではなく、知恵や知識などをはじめとした最適なリソースで支援し続け、結果多くの起業を後押しした点にあったのではないかと感じました。

“起業家支援を続けたこと”によりニューオリンズに起業文化が根付き、多くの人や若者を惹きつけ、外からも新たに人がやってくるという現象につながったのではと考えられます。

ニューオリンズの話を聞いていく中で、震災から4年たった今、本当の意味での復興を考えた時、行政やNPO、企業がそれぞれの領域にとどまることなく連携し、そしてその地に住む人や関わる人それぞれが、まちや地域はどうありたいのか、どうあってほしいのか、復興のビジョンをしっかりと持ち、次の世代、さらにもっと先の世代へとつなげていけるよう、それぞれの垣根を越えて議論を深めていくことが本当に大切なのではないかと感じました。
口で言うほど簡単なことではないことはよくわかっていますが、東北もニューオリンズのように生まれ変っていければと思わずにいられません。

住みたい・働きたいまちを目指して

では今現在の東北で、被災したまちに住みたい・働きたいと思わせる働きかけがどれだけ積極的に行われているか?と考えると正直まだまだ少ないように感じます。

今後行政や企業などが、それぞれ専門領域を越えて連携し、ニューオリンズのように大きな流れを生みだせるのが一番ですが、その前に今時点で何ができるのか考えた時、クラウドファンディングという言葉が最初に浮かびました。

最近日本でもよく耳にするクラウドファンディングとは、自らのアイデアをネット上でプレゼン、アイデアへの賛同者を集め少額の寄付を通して出資を集めるられる仕組みです。
サービスの中には、地域と深く結びついたクラウドファンディングサービスもあったりと、例え直接行動を起こせなかったとしても、何かしようとしている人を応援することができると思います。

“何もない”から”何でもできる”へ

最後に…いろいろ偉そうに発言してきましたが、結局は生きていくためには当然お金が必要で、そのためには仕事が必要…と考えるのは必然です。

復興のために東北へ行こう。お金を使おうだけではどうしても息切れしてきてしまいます。
今ある仕事だけでなく、自ら新たに生み出していく、このまちならアイディアを実行に移していいんだと思えるようなそんな場所になれたら、本当にこのまちに住みたいって思ってくれる、もっと多くの人を集めることができるのではないでしょうか。
“何もないではなく、何でもできる!”そんな風に、人の心もまちも変わっていけたら、震災前よりももっと大きく発展していけるのではないかと思いました。