東北の復興をITから考える

こんにちは。ジェーピーツーワン:システム担当です。

3/11を迎えるにあたり、東北を元気にするプランについて考える機会をいただきましたので、エンジニアの目線から考えてみました。

東日本大震災はさまざまな分野で被害を及ぼしましたが、システム運用の分野にも、停電・機器の破損・ネットワークの断線といった直接的被害から、計画停電、バックアップ復旧といった間接的な被害まで多くの影響をもたらした大災害でした。
また、ラジオ、テレビと並んで、インターネット情報が被災者の支援となった事例でもありました。

深い悲しみを残す災害ですが、そこから得た教訓を糧とし活かすことで前向きな意味も生まれるはずです。

【ITを使って東北を元気にする】

・自活のための支援
復興のための資金投入は必要ですが、それに依存した体質が染み付くことで、長期的にみて地方の自活能力を奪うと思います。
いかに地域に根差した産業を生み出し育てていくかが、東北の生きる力を育てることにつながるはずです。
その産業としてITは適しているのではないかと考えます。

・ITは食品と比較して原発事故による風評被害の影響がない
東北全般ではないですが、福島原発の抱える問題は今後も長きにわたって続くはずです。
WebをはじめとするIT産業は、そうしたマイナス要因の影響を受けにくいと考えます。

ジェーピーツーワンは情報サービスをITを使って発信する会社であり、静岡県という立地で活動しています。
ITサービス産業は圧倒的に東京などの大都市圏に集中しているため、東北と同じく非首都圏に位置する企業として同じ視点でこのテーマについて考えられると思います。

【どのようなIT産業が望ましいか】

上場企業検索(http://pressrelease-jp.com/companysearch/)にて、「情報・通信」業種で検索したところ、
341社存在し、
東京都:260社(76%)
神奈川県:10件(3%)
愛知県:10件(3%)
大阪府:22件(6%)
この4都府県で302件(89%)でした。
東京の人口は日本のおよそ10%ですから、「情報・通信」企業の76%が東京に存在していることは非常に偏って集中していることになります。

・地方でIT産業が根付かない要因
どのようや業種であれ、営業活動には顧客と直接顔を合わせられることが重要だと思います。
地方でIT産業が根付かない要因を推測するに、企業を相手とするIT産業では、購入を決定する本社が集中する都市圏に立地することが有利なため、本社の少ない地方ほど不利になるのはどうしようもないと思います。

このためシステムインテグレータといった、企業を顧客にする業種は東北には向かないと考えます。

・データセンター
サーバの冷却コストを考えると、寒冷地の方がデータセンターの設置に向くとされます。
日本ではさくらインターネットさんの、北海道の石狩データセンターが有名です。
東北にデータセンターを誘致する案を考えましたが、データセンターを運営する企業は首都圏が本社である機会が多いはずです。
さくらインターネットさんは大阪府が本社でした。
地方の雇用を促進するという意味では良いですが、利益は大都市に還元されてしまいます。

大企業に頼らずとも、もっと草の根的に東北の活性化を考えたいと思います。

・農業・漁業・畜産業・林業・鉱業といった一次産業とITの組み合わせ
一次産業については首都圏とは隔絶された、地方の独壇場のはずです。
東北の地に根付いた産業という意味でも競争力の意味でも、十分な魅力を備えていると思います。
この産業を、ITを用いて活性化させることができれば東北、ひいては日本の活性化にもつながるはずです。

【どのような活動が有効か】

ITを使った一次産業活性化の手法には、
・生産効率の向上および生産コストの低下
・情報発信と関心・人気の獲得によるブランドイメージの向上
・販売ルートの拡充
が考えられます。

東北地域の活性化という意味では、大企業に任せるのではなく、既存の農家、漁業家がこれらに取り組むことが大事ですが、今後の高齢化や人口減少にあたりこれは難しいと考えます。

企業を相手とするITシステム産業は、企業本社が集中する都市圏に集まることの裏返しとして、農家・漁業家を相手とするITシステム産業は、農家・漁業家が集中する地域に産業が集まるはずです。

つまり「使いやすい一次産業支援システム」の開発と、それを東北に根ざした企業が農家など一次産業従事者に導入することで、ITベンダー・一次産業従事者共に発展していくことができると考えます。
東北での成功が臨めれば、他の地方へシステムを外販することも可能です。

こうした取り組みは、ずいぶん前から模索されていると思いますが、成功例を探すことは難しい状況だと思います。
それでも、最適解に向けて試行錯誤を繰り返していくことで、少しでも東北の活性化、そしてそれを購入した人達の幸せに繋がっていくのだと信じます。