南相馬市が「脱原発都市」宣言

原発事故で大きな被害を受けた南相馬市の市議会定例会で、桜井勝延市長は会期中に全国初となる「脱原発都市」を宣言する方針を示した。朝日新聞DIGITAL、NHKニュースウェブ、FNNなどのメディアが伝えている。

南相馬市では原発事故で6万人を超える市民が避難を余儀なくされ、現在までに460人超の市民が命を落とした。また、地域や家族がばらばらになり、放射能の影響に怯える生活が現在も続いている。

報道によると、桜井市長は15年後の2030年までに、市内の消費電力のすべてを太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで賄い、原発に依存しない町づくりを進めるとしているそうだ。

南相馬市のホームページのトップには、次のように記されている。

原発事故からの復興に向けて

全国の皆様へ

東日本大震災と東京電力の原発事故による被災に対しお寄せいただきましたご支援に心から感謝申し上げます。
おかげさまで子どもたちも元気を取り戻して頑張っております。復興に向けては、原発に頼らないまちづくりにさらに邁進してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

引用元:ホーム - 南相馬市

原子力発電に頼ることなく、再生エネルギーだけで市の電力需要を賄うというのは大変なことだと思う。将来原発が再稼働したと仮定すると、電力会社から電気を買えばその中には火力や水力で発電された電気だけでなく原子力でつくられた電気も混ざってしまう。スマートグリッドによる配電で再生エネルギー発電分だけを買うという方法も将来的には実現するかもしれないが、市長が言っているのはどうも違うようだ。

具体的には今後、沿岸部に大規模な太陽光発電や風力発電の施設の整備を進め、15年後の2030年までに、市内の消費電力のすべてを再生可能エネルギーで賄いたいとしています。

引用元:福島・南相馬が「脱原発都市」宣言へ NHKニュース 3月2日

再生エネルギーのみを使って地域で作った電気で市全体の電気を賄うという決意表明と受け取れる。つまり、電力会社の送配電網から独立した、地域密着の発送電システムをつくるということだ。

きわめて困難な事業になることは想像に難くない。さまざまな紆余曲折もあるかもしれない。しかも2030年までという先の長い事業である。桜井市長は1956年の生まれなのでそれまで在任し続けている可能性もあるが、それでも15年間をかけて実現を目指すことになると、経験や技術や思いを次の世代に引き継ぎ、受け渡しながら、町全体の堅い決意のもとに進めて行かなければならない。

NHKニュースウェブは議会後の市長のコメントを伝えている。

「原発事故が一度起これば地域は破壊される。原発立地自治体でないにもかかわらず多くの人が避難を余儀なくされた。二度と起こさない決意を宣言として世界に発信していきたい」

引用元:福島・南相馬が「脱原発都市」宣言へ NHKニュース 3月2日

あるいは他の町では難しいかもしれない。しかし、原発事故で大きな被害を受け、そこから強靭な力で立ち上がろうとし続けてきた南相馬なら、やり遂げるかもしれない。

電力会社の電力網から独立した、地域による地域のための発送電。ことは電力供給のみならず、地域の経済の在り方や地方と国の関係の未来をも切り拓く壮大なチャレンジになることは間違いない。ずっと注目していきたい。