熱海梅園で紅葉狩り

熱海梅園にて

自宅の近場に「このような素晴らしい場所があったのか」と驚くことが、ここ最近度々あります。先日の日曜日に訪れた静岡県熱海市の「熱海梅園」もそのひとつでした。梅の花の名所として有名ですが、紅葉スポットとしても知られています。

熱海梅園の歴史

熱海梅園は、熱海海岸から熱海峠へと続く山腹に造られています。約1万4千坪の広い敷地にはカエデや梅の木以外にも「中山晋平記念館」などの見どころがあります。

園の歴史は120年以上と古く、明治の初めに内務省の初代衛生局長が「国民の健康の元をつくるには温泉と自然に親しむことが第一」と提唱したことに端を発し、明治19年(1886年)、横浜の豪商・茂木惣兵衛らが山林を開いて梅やカエデなどを植えたのが始まりだそうです。

梅園は、造られて間もない明治21年(1888年)、皇室に献納されると第二次世界大戦後まで皇室財産となっていました。しかし、戦後の昭和22年(1947年)、皇室財産税の物納として国有財産となり、昭和35年(1960年)に国から熱海市に無償で払い下げられました。熱海市は園内の整備を行うと、昭和41年4月1日に熱海梅園を開設し現在に至っています。

写真で見る熱海梅園

熱海梅園にはカエデ類の木が380本植えられています。紅葉の最盛期は例年、11月下旬から12月初旬と言われています。

梅園の主な出入り口は3ヶ所あります。私は管理事務所のある、園内で一番下に位置するゲートから入園しました。園内は起伏に富んでおり、中心にはさながら渓流の様相を見せる「初川」が流れています。

熱海梅園の趣ある光景は、園内を流れる川とそれに架かる橋によるところが大きいのかもしれません。梅園内には「梅園五橋」と呼ばれる5つの橋のほかに梅園橋など、大小の橋があります。

個人的に一番好奇心をそそられた場所が「梅見の滝」です。初川の水の利用した、高さ13m、幅28.5mの人工の滝ですが、周りの風景と見事に調和しています。そして、なんとこの滝の裏側には通路が造られています。他ではあまり目にすることができない滝の裏側からの光景を見ることできます♪

熱海梅園で気に入った場所のひとつが「中山晋平記念館 」です。中山晋平は大正から昭和にかけて活躍した作曲家です。「シャボン玉」、「てるてる坊主」、「こがね虫」などの童謡を始め、数多くの名曲を残しています。記念館は中山晋平が晩年を過ごした熱海市西山の住居を移築してきたものです。

建物は昭和初期の一般的な民家の造りですが、床の間のある和室と縁側がとても素朴で落ち着きます。記念館の付近には梅の木が植えられており、季節になれば素晴らしい眺めになりそうです。

梅園全体で見ると、紅葉の最盛期は数日前だったのかもしれません。しかし、この日ちょうど見ごろを迎えている場所もありました。曇りがちの空から時折、太陽が顔をのぞかせると、綺麗に色づいたカエデが一層美しく見えました。

熱海梅園、来年も来ます。

熱海梅園には他にも韓国庭園や和風庭園もあります。特に和風庭園にある足湯はおすすめです。熱めの湯加減で、足を入れた瞬間は少し熱く感じたものの、すぐに慣れて心地よくなりました。5、6分ほど足を浸した後に再び歩き始めると、足の先まで「ポッポッ、ポッポッ」と暖かく、足取りが軽く感じられてその効能に驚きました。

熱海梅園は、横を走る熱海街道からこれまで何度となく見ていました。しかし、外から見るのと中に入って見るのでは全く違うものでした。川が流れ、起伏に富んだ園内は想像していた以上に趣のある名園でした。

来年、最盛期にまた訪れたいと思った紅葉スポットです。

熱海梅園

紅葉の見納め

熱海梅園は日本で一番遅い紅葉の名所とも言われています。今秋はいろいろな場所へ紅葉を見に行きましたが、それも熱海梅園で見納めかもしれません。

とは言え、気の早すぎる話かもしれませんが、実は今からもう「来年の紅葉はどこに行こうか」と楽しみにしています♪でも、その前に四季の移ろいを感じることのできる次の楽しみを見つけたいと思います。

おそらく今年最後の紅葉。熱海梅園にて

参考WEBサイト

Text & Photo:sKenji