飢餓なんて関係ないと思われるかもしれませんが、世界の人口の8人に1人、数にすると8億4200万もの人々が慢性的な飢餓に苦しんでいます。今日食べるものがない。明日も食べられるかどうか分からない。明後日もその次の日も。そんな境遇に置かれたら一体どんな気持ちになるか。大勢の子供をかかえて、戦中戦後を生き抜いた祖母の言葉が思い出されます。飢餓は、遠い見知らぬ国のできごとではありません。
しかも、現在世界で広がり続けている飢餓は、飢えに苦しんでいるその国の人たちの自業自得なんかではなく、私たちが暮らす日本のような先進国のライフスタイルに起因するものだと言われています。
世界食糧デーに制定された10月16日、飢餓と貧困が世界にどんな悪をもたらしているのか、リンクと引用で考えます。
食べることは最も重要な基本的人権
毎日ふつうに食事をしていると、「食べることは最も重要な基本的人権」だなんて考えることはないかもしれません。でも、もしも今日食べるものがない。明日食べられるかどうか分からないという境遇になったら。
いま地球上で暮らす8人にひとりが慢性的な飢餓に苦しんでいると言われます。栄養が不足して体が弱ってくると、下痢や風邪を引いただけで死んでしまうことがあります。とくに小さな子供たちは発育が阻害されてしまうので事態は深刻です。たとえ生き延びても脳や神経などに障害が残ってしまうケースもあるといいます。
食べることは生きていく上で最も基本的な人権です。
食べられないことへの不安は最も非人道的な責め苦です。
世界の飢餓の原因は、飢餓に苦しむ国の人々ではなく、先進国にあると言われています。
さらに飢餓と表裏一体のものである貧困は、苦しみの中にある人々を無限連鎖のように苦しめ続けるだけでなく、構造的な差別や不平等を引き起こし、それがゆえに地域紛争の大きな要因にもなっているといいます。先進国の浪費が途上国の飢餓や貧困を呼び、そのことが世界全体を脅かしているのです。まるでブーメランのように。
世界の穀物生産量は、世界中の人が生きられるに十分すぎるほど
意外かもしれませんが、世界全体で見ると食糧は不足しているわけではありません。
世界では、穀物だけでも世界中の人が生きでいくのに必要な量の倍近く生産されています。
他の食べ物を合わせるとありあまるほどあります。
世界の穀物生産量(2008年)22億2450万t÷67億4970万人=1人約330kg(1年の必要穀物量は1人180kg)それなのに世界の飢餓人口は減るどころかふえ続けています。
上の数字で分かるように、世界人口の18%が工業先進国に暮らし、この18%の人たちが世界の穀物の39%を消費。言いかえると世界のおよそ5分の1の先進国の人が、世界中の穀物の5分の2を消費していることになります。そして世界人口の5分の4が開発途上といわれる国に住み、世界の5分の3の穀物で暮らしています。
今、アフリカのサヘル地域東部では、干ばつによって作物の収穫が少なく、深刻な食糧難に陥っています。作物や家畜を失い、餓えた人々は食糧を求めて都市へと移動しています。とりわけ子どもや女性の栄養不足は深刻です。
引用元:穀物生産量 | 飢餓を知ろう | わたしから始める | ハンガーゼロ | 1分間に17人飢餓で亡くなっている現実を知ろう。
飢餓は人間の可能性を削ぎ落す
国連WFP(国際連合世界食糧計画)は飢餓ゼロに向けて活動しています。アーサリン・カズン国連WFP事務局長が昨年の10月17日の声明に寄せた言葉は、なぜ飢餓撲滅なのかを端的に物語るものです。
栄養不良の少年少女は健康上の問題を抱え、学業不振に陥り、大人になってからは職場でも様々な壁に直面します。栄養不良のせいで人間としての可能性が活かされず、住んでいる社会で活躍する能力を削がれてしまっているのです。栄養改善に優先的に取り組むことは、地球の未来のための投資です。そのためには、食糧・農業・保健・教育システムに取り組むことが必要です。
飢餓はこの地上に生まれてきた人間の可能性を削ぎ落す罪悪だというのです。そして、その撲滅に向けて行動することが地球の未来に直結すると言います。
10月16日、世界食糧デー。今日は地球規模で存在する飢餓について考える日。先進国と呼ばれる国に暮らす私たちは、飢餓に苦しむ人々にとっての加害者であり、同時に世界全体の未来の方向を決める判断を、ひとりひとりが求められているのです。
アクションは難しくない
信じられますか。アフリカ中部の国ブルンジでは67.3%、アフリカ東部のエリトリアでは61.3%の人々が栄養不足の状態にあるそうです。
世界の穀物生産量は人類全体が必要とする量の1.8倍もあるのに、地球上では8人にひとり、数にして8億4200万人が慢性的な飢餓に苦しんでいるのです。
飢餓はアフリカやアジア、南米などの貧しい国々で深刻化していますが、飢餓に苦しむそれぞれの国だけの問題ではありません。飢餓の大きな原因は人口の5分の1に過ぎない先進国の人々が、穀物生産量の5分の2を使い果たしていること。過剰な肉食や食品廃棄の見直しなど、私たちが取り組むべきことはたくさんあります。
そして、もちろん現在進行している飢餓に対して、直接アクションを起こすことも。
10月16日は世界食糧デー。たとえば、あなたのFacebookにこの日の記事を書くことも、一緒に考える人を増やすための重要なアクションです。
飢餓や貧困の問題は10月16日というこの日だけ考えればいいものではありません。10月17日は「貧困を撲滅するための国際デー」。そして10月には多くのNPOや様々な団体によって、飢餓や貧困、不平等が世界にもたらすことの啓発と行動を呼びかけるたくさんの活動が行われています。
穀物を餌にする食肉を食べることが何を意味するのか。冷蔵庫の中で、あるいはコンビニなど商店の店頭で賞味期限切れで大量の食べ物が廃棄されることが何につながっているか。10月はそのことを考えるきっかけの月、何かアクションを起こす始まりの月なのです。